フォルクスワーゲンTロックへ試乗(1) 活発な走りを予感させるデザイン イチオシは2.0TSI

公開 : 2024.01.23 19:05

英国ではクラスを席巻する勢いの人気車種、Tロック ロー&ワイドなプロポーション 動的能力を考えると優秀な乗り心地 英国編集部が総合的に評価

英国市場の同クラスを席巻する勢いの人気

フォルクスワーゲンTロックは、英国市場のこのクラスを席巻する勢いの人気がある。いま最も売れているモデルの1台へ、ノミネートするほど。同社のゴルフへ似たプロポーションを持ちつつ、車高を持ち上げ、強い存在感を放っている。

Tロックの見た目には華やかさがあり、エレガントでスポーティ。フォルクスワーゲンらしく、過度に主張することはない。同クラスの中では、動的能力にも長けている。

フォルクスワーゲンTロック(英国仕様)
フォルクスワーゲンTロック(英国仕様)

現行型は初代で、発売は2017年。トヨタC-HRアウディQ2などが主なライバルとなり、同社のTクロスティグアンの間に位置する。

パワートレインの選択肢は多岐に及ぶ。英国仕様のエントリー・ユニットになるのが、最高出力109psを発揮する1.0Lガソリンターボ、前輪駆動の1.0TSIだ。

1.5Lガソリンターボ、1.5TSIでは150psへ上昇。2.0Lでは189psと300psの2段階が用意され、その最もパワフルな仕様がTロック Rに載る。2.0Lディーゼルターボも英国では選べ、最高出力は114psか150psに設定される。

2.0Lのガソリンとディーゼルでは、四輪駆動の4モーションが標準。多板クラッチを用いたシステムで、フロント側のトラクションが不足すると、リアへトルクが伝えられる。ドライブモード次第では、四輪駆動状態も保たれる。

トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティックの他、6速マニュアルも一部で選べる。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式。リアはパワートレインに応じて、トーションビーム式かマルチリンク式が設定される。

ロー&ワイドなプロポーション

基礎骨格は、フォルクスワーゲン・グループ定番のMQBアーキテクチャ。全長は4236mmでティグアンより250mm以上短い。適度に小柄なサイズ感が、クロスオーバーとして好印象な見た目を作っている。

トリムグレードは、Tロック Rを除くと、ライフ、スタイル、Rラインの3段階。グレードを問わずダッシュボード上にタッチモニターが据えられ、スマートフォンとのワイヤレス接続機能へ対応するなど、装備は充実している。

フォルクスワーゲンTロック(英国仕様)
フォルクスワーゲンTロック(英国仕様)

スタイリングは、紛うことなきフォルクスワーゲン。ポロやゴルフなどへ通じる、細くワイドなフロントグリルを採用し、ラインナップの連帯感を生んでいる。

ルーフラインはなだらかに後方へ傾斜し、リアピラーは倒れ気味。実用主義ではなく、モダンなクロスオーバー路線が狙われている。全体的にロー&ワイドなプロポーションが、活発な走りも予感させる。

車内空間は、このクラスでは広め。特に荷室は、他を寄せ付けないほど。かといって広さが追求されたわけではなく、インテリアはモダンな雰囲気も漂わせる。

高めの着座位置で、ゴルフよりゆとりを感じる。視線の位置も高いため、前方視界は良好。ドライビングポジションの調整域は大きく、幅広い身長へ対応できる。

リアシート側も、平均的な身長の大人なら問題なく座れる。オプションのパノラミック・サンルーフを装備しても、高さ方向の影響を防いだ点は評価したい。乗員の手前で膨らみが終わり、髪の毛が天井へ触れるのを防いでいる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フォルクスワーゲンTロックへ試乗の前後関係

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