ルノースポール・メガーヌ

公開 : 2012.12.20 17:26  更新 : 2017.05.29 19:23

新たに上陸したメガーヌルノースポール(以下RS)の改良版は、本国で“コレクション2012”と銘打って、ちょっと多めの改良策を施された2012年モデルのひとつである。内外装にごくごくわずかなブラッシュアップの跡もあるが、われわれが注目すべき変更点は3つ。ひとつが過給圧アップによって265ps/36.7kgm(従来比+15ps/2.0kgm)となったエンジン、ふたつめがオプションの19インチタイヤが専用新開発のBSポテンザRE050Aとなったこと。最後が日本仕様が従来の左ハンドルから右ハンに変わったことである。

右ハンドル化は細部までこだわる好事家にとっては懸念材料かもしれないが、前席まわりの基本パッケージは先代メガーヌⅡと変わりなく、そのネガは最小限といっていい。左右方向のペダル配置は左ハンとほとんど変わらず、左足用に実用的なフットレスト空間も残される。そのかわりにペダル全体が少し手前に移動しているのだが、ステアリングに幅の大きいテレスコ調整がつくメガーヌにかぎっていえば、理想のドラポジ探しにさしたる苦労はない。ブレーキは左側に残されたマスターを遠隔作動させることになり、パッドの食いつきを足裏に伝えるフィードバックが希薄になっているのは否めないが、これとて決定的な弱点というほどではない。

ハンドル位置以外の仕様内容は、ほぼ従来どおり。シャシーは硬いカップ仕様のみで、レーシーなレカロシートも標準装備。基本的なシャシーチューンも変更なしだが、新しい19インチタイヤについてはちょっと説明が必要だろう。

従来のメガーヌRSのシャシーカップは18インチのミシュランですべてが最適化されており、19インチは有り合わせ(?)のコンチ・スポコン3による、いわば“ドレスアップ仕様”だった。今回もシャシーチューンは変わっていないのだが、新しい19インチはその既存シャシーに合わせてBSが専用開発したタイヤという。ちなみにメガーヌRSは昨年6月にニュル北コースで量産FF最速タイム(8分7秒97)を記録しているが、そのときのメガーヌがこの新しい265psシャシーカップに、BS製の新19インチを履かせた仕様だった。新しい19インチはつまり、従来のドレスアップ仕様とは、ある意味で正反対の“最速サーキット仕様”になったわけだ。

富士スピードウェイ本コースでは、新19インチの効能が明らかだ。フロントに独立キングピン・ストラットとヘリカルLSD持つメガーヌRSシャシーカップは、なにより方向安定性とトラクション性能がすさまじい。スロットルを踏んでさえいれば、進行方向と推進力だけはブレずに失わないのだ。しかし、たとえば富士300Rなど超高速コーナーでは、18インチがヌルヌルとお尻を左右に振りつつもフロントだけがグイグイ牽引するのに対して、19インチは4輪がピタッと安定して矢のように走る。グリップ力はあらゆる場面で19インチがハッキリと高い。サーキット走行限定なら19インチが圧倒する。

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