コーナリングも維持費も「ポルシェ水準」 カイエン(初代) ブランド初のSUV UK中古車ガイド

公開 : 2024.01.21 19:05

ブランド初のSUVとして2002年に発表されたカイエン 優れた操縦性でコーナリングは機敏 車両価格は安くても、維持費はポルシェ水準 英編集部が初代を振り返る

潤沢な収益を与えた初代カイエン

何を美しいと感じるかは、人それぞれ。2002年に発表されたポルシェ・カイエンを、美しいデザインだと感じた人も少なくないと思う。

すっかり違和感は消えてしまったが、初代カイエンはポルシェ初のSUVだった。シュツットガルトのブランドらしく、お値段は高く、内装は豪華で、強力なエンジンを搭載していた。燃費は、少々褒めにくかった。

ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)
ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)

しかし、ポルシェでありながらボディは肉厚で、フロントマスクも精悍とは呼べなかった。古くからのポルシェ・ファンや一部のメディアから、スポーティさの欠ける容姿へ批判的な声が上がったことも事実だ。

それでも、市場では大きな支持を獲得。カイエンは、ポルシェに潤沢な収益を与えた。現在では市民権を獲得し、裕福な人が集まる住宅街には、必ずといっていいほど新しいカイエンが止まっていたりする。

今回振り返る初代は、2002年から2010年まで販売された。当初は、ベースグレードに載った253psの3.2L V6ガソリンターボと、カイエン Sに載った344psの4.5L V8自然吸気、カイエン・ターボの450ps V8ターボという3種類のエンジンが用意された。

3.2L V6エンジンのパワーは、ポルシェとしては少々物足りない。0-97km/h加速に要する時間は、9.0秒だった。条件が許すなら、Sかターボが望ましいだろう。それ以上を望むなら、521psのカイエン・ターボSが2006年に登場している。

コーナリングは機敏 維持費はポルシェ水準

2007年にフェイスリフト。3.2L V6は3.6Lへ拡大され、4.5L V8ターボは4.8Lへ拡大された。同時に、自然吸気で405psを発揮する、4.8L V8のGTSも登場。燃費に優れる3.0L V6ターボのディーゼルも、欧州市場へ投入されている。

トランスミッションは、低グレードで6速マニュアルを指定できたが、殆どのオーナーは6速オートマティックのティプトロニックを選んだ。駆動方式は、リアアクスル主導の四輪駆動。カイエン・ターボ以上には、エアサスペンションとロックデフが装備された。

ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)
ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)

ベースのカイエンと、カイエン Sにはスチールコイルのサスペンションが組まれるが、乗り心地は少々悪い。2007年のフェイスリフトで、若干改善されている。

とはいえ、サスペンションを問わず、ポルシェらしくコーナリングは機敏。優れた操縦性は、2代目カイエンのハードルを上げることになった。2014年に登場したポルシェ・マカンにも、その特長は受け継がれたといえる。

標準装備は充実。ハーフレザーのパワーシートとエアコン、トラクション・コントロールなどがベースグレードにも与えられ、ターボ以上にはクルーズコントロール、メタリック塗装、スポーツシート、パーキングセンサーなどが追加された。

2024年に1番安いポルシェをお探しなら、間違いなく初代カイエンがその答え。ただし、車両価格はお手頃でも、維持費はポルシェ水準でかかる。魅力を感じたのなら、可能な限り状態の良い1台を、じっくり探してみてはいかがだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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