ロールスロイス ファントム シリーズⅡ
公開 : 2012.11.20 18:04 更新 : 2017.05.29 19:40
ロールスロイスが劇的に復活し、その威厳を完全に取り戻したのが、このファントムであることに誰も異論を挟まないだろう。何しろ、全長は5842mm(今回乗ったエクステンディトホイールベースは6092mm)もあり、幅だって、ほぼ2mの1990mmだ。現在のクルマ社会の中で、間違いなく最大級のサイズなのだが、それ以上に成功したのは、その卓越したデザインに拠るところだろう。直立した、巨大なパルテノン・グリルから、優雅に流れるボディラインは、けっして斬新ではないが、落ち着いた豊かなボリュームを持ち、これ以上ない高級感を漂わせている。そして、室内に乗り込んでみれば、これまた、最高級の革とウッドに囲まれ、オーナーを言いようの無い満足感に浸してくれる。この辺りの全体の構成の上手さは、本当に見事と言うしかない。ドライヴァーズ・シートに座ると、上質のクロームに覆われたスイッチ類と、径が大きく細身の、昔ながらのステアリングが目に入る。前方に長く伸びるエンジンフードは巨大だが、角の見切りは意外に判りやすい。
今回のモデル・チェンジで変わったのは、フロントとリアの細部の造形で、特にヘッドライトはフルLEDとなり、バンパーも前後ともに意匠が変更となった。
V12気筒、460PSを発生するエンジンは、当然のことながら、極めて静かで、アクセル・ペダルを踏み込めば、巨体をゆらりと揺らせてスタートする。都内の雑踏に繰り出しても、大きなボディ・サイズによるストレスは一切無く、意外に小回りの効くステアリングと相まって、見た目よりも遥かに楽だ。新搭載の8段トランスミッションにより、更にスムーズになったのは事実で、変速は殆ど判らないほどだ。新たに8.8インチのセンター・ディスプレイが装備され、これがあらゆる情報を手に入れるマルチ・ファンクションとなっていて、使いこなせば、誠に便利なものだと思う。
まさに至れり尽くせりのクルマだが、さらに自分仕様としたビスポーク・プログラムを頼むこともでき、現実に今、発注しているクルマの大半がビスポークの作業を伴っているのだという。
(文・笹本健次 写真・花村英典)
ロールスロイス ファントム シリーズⅡ エクステンデット ホィールベース
価格 | 5640万円 |
0-100km/h | 6.1秒 |
最高速度 | 240km/h |
燃費 | 6.71km/ℓ |
CO2排出量 | 349g/km |
車輌重量 | 2670kg |
エンジン形式 | V12DOHC、6749cc |
エンジン配置 | フロント縦置き |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 460ps/5350rpm |
最大トルク | 73.4kg-m/3500rpm |
馬力重量比 | 172ps/t |
比出力 | 68.5ps/l |
圧縮比 | 11:1 |
変速機 | 8段A/T |
全長 | 6092mm |
全幅 | 1990mm |
全高 | 1640mm |
ホイールベース | 3820mm |
燃料タンク容量 | ― |
荷室容量 | - |
サスペンション | (前)ダブルウィッシュボーン |
(後)マルチリンク | |
ブレーキ | (前)Vディスク |
(後)Vディスク | |
標準タイヤサイズ | 265/790R540A |