E39型「M5」と同じV8エンジン BMW Z8 美しいハンドメイド・ボディ UK中古車ガイド
公開 : 2024.01.25 19:05
映画007にも登場したロードスター、BMW Z8 職人による手作りの美しいボディ エンジンはE39型M5と同じ4.9L V8 英国編集部が魅力を再確認
もくじ
ーBMW M5と同じ自然吸気の4.9L V8
ー殆どが職人による手作り 映画007にも登場
ー新車時代のAUTOCARの評価は
ー専門家の意見を聞いてみる
ー購入時に気をつけたいポイント
ー知っておくべきこと
ー英国ではいくら払うべき?
BMW M5と同じ自然吸気の4.9L V8
ポルシェ911 カブリオレやアストン マーティンDB7 ヴァンテージ・ヴォランテなどのライバルとして、2000年に登場したのがBMW Z8。クラシカルなスタイリングだけでなく、製造品質や動力性能は申し分なく、AUTOCARでも高評価を与えている。
しかし、価格はMTのポルシェより1万3000ポンドも高かった。結果として、悩ましい選択に迫られた人は多かった。直進加速は見事だったが、ハイエンドのBMWへ求められる、繊細さや上質さには欠けていた。
そんな事実から、Z8が完璧ではなかったと記憶している読者も少なくないだろう。とはいえ、弱点のないモデルなど存在しない。ポルシェ911がガレージに収まっていながら、15万ポンド(約2790万円)をつぎ込んでZ8を購入したとしても、納得はできる。
美しいスタイリングは、1950年代後半のBMW 507を彷彿とさせるもの。長いボンネットに収まったエンジンは、400psを発揮する自然吸気の4.9L V8。E39型BMW M5と同じユニットだった。希少なクラシックカーとして、魅力を高める事実といえる。
前後の重量バランスを改善するため、搭載位置はフロントアクスルの後ろ側。トランスミッションは、ゲトラグ社製の6速マニュアルで、後輪駆動のみの設定だ。
リミテッドスリップ・デフの設定はなかった。路面コンディションが優れない場面では、限界領域での挙動が予測しにくくなる可能性は高い。
殆どが職人による手作り 映画007にも登場
発表当時のZ8の価格は、8万4000ポンド。殆どが職人による手作りだったことは、特筆に値するだろう。それでいながら、ボディパネルのフィット感や内装の仕上げは、高水準なBMWの量産車へ並ぶほど高い。
英国へ輸入されたZ8は、約100台。左ハンドル車のみの提供だった。
シャシーはアルミニウム製のスペースフレームで、極めて強固。ボディもアルミ製だから、もし事故を起こしたら、簡単には修理できない。ソフトトップは電動で動くが、最後に手で固定する必要がある。
BMWのZ8は2003年に生産が終了するが、入れ替わるようにアルピナから独自仕様が発売された。これには、ステップトロニック付きの5速ATが搭載されていた。
インテリアは、ダッシュボード中央にメーター類が集約されたデザインが特長。前方視界を広く取るという考えによるレイアウトだった。見た目をシンプルにするため、主要な操作系が集約されてもいる。
内装の素材は最高級。プラスティック製部品も見られるが、その仕上げも美しい。
カリフォルニアの丘陵地帯を運転した自動車ジャーナリストの1人は、キャビンの主張が強すぎ、レトロ過ぎると感じていたものの、スタイリングは素晴らしいと絶賛した。ドライビングポジションは、完璧だったという。
ちなみに、1999年の映画007「ワールド・イズ・ノット・イナフ」には、ボンドカーとしてZ8が登場している。劇中では、モックアップだったが、のこぎりで切断されてしまうのだが。