「軽くて単純」なクルマが欲しい? あえてハイブリッド・レス ヒョンデi20 1.0Tへ試乗

公開 : 2024.02.01 19:05

ヒョンデの小さなハッチバック、i20がフェイスリフト 聴き応えあるサウンド 軽快に動くシフトレバー あえてハイブリッドを止めた最新版を英国編集部が評価

軽くて単純で、お手頃なクルマが欲しい

欧州市場では特に、新モデルの情報といえばバッテリーEVやクロスオーバーばかり。自動車産業は、その方向へ追い込まれている。しかし、もっと軽くて単純で、お手頃なクルマが欲しいと考えているユーザーは少なくない。

環境負荷の小さいコンパクトカーなら、シンプルな内燃エンジンモデルが、まだ成立できる。2万ポンド(約372万円)を超える英国価格は、お手頃とはいえないけれど。

ヒョンデi20 1.0T 100PS アルティメット(英国仕様)
ヒョンデi20 1.0T 100PS アルティメット(英国仕様)

フェイスリフトを受けたヒョンデi20のお値段は、エントリーグレードのアドバンスで2万770(約386万円)から。トップグレードのアルティメットでは、2万6720ポンド(約497万円)に達する。

見た目では、前後バンパーの造形が新しくなり、16インチと17インチのアルミホイールにも新デザインが追加された。ボディ塗装とインテリアには新色が追加され、しっかりリフレッシュされたといえる。

ヒョンデ・コナアイオニック5ほど大胆なスタイリングではないものの、i20の街角での存在感は小さくない。まとまりも良いと思う。

ただし、今回のフェイスリフトで特筆すべき点が、パワートレインの変更。エンジンからマイルド・ハイブリッド・システムが省かれたのだ。2024年の英国で選べるのは、電動化技術の載らない、ベーシックな100psの1.0L 3気筒ターボガソリンのみとなった。

聴き応えあるサウンド 軽快に動くシフトレバー

韓国ではマイルド・ハイブリッド版が継続しているようだが、英国への輸出は終了したらしい。ヒョンデへ確認したが、理由の明確な説明はなかった。ライバルより高めの価格を、抑える意図があるのだろう。ホットハッチのi20 Nが再導入されるのかも不明だ。

トランスミッションは、6速マニュアルと7速デュアルクラッチ・オートマティックが選べる。今回の試乗車には、MTが載っていた。

ヒョンデi20 1.0T 100PS アルティメット(英国仕様)
ヒョンデi20 1.0T 100PS アルティメット(英国仕様)

筆者は久しぶりにi20へ試乗したが、記憶の限り、従来のマイルド・ハイブリッド版と目立った印象の違いはないようだ。1.0L 3気筒ターボは、若干ノイズが大きめ。低回転域でのトルクが細く、ターボラグがあり、パワー感は少しもの足りない。

マイルド・ハイブリッドのi20では、電圧48Vのスターター・ジェネレーターが、それを補っていたはず。ところが、同じような印象を持ったことを覚えている。効果は薄かったのかもしれない。

とはいえ、回転数を高めれば、聴き応えのあるエンジンサウンドが放たれる。6速MTのシフトレバーは軽快に動き、コクリとゲートへ収まる。そんな気持ち良さも、これまでと変わらない。

燃費も、マイルド・ハイブリッド版と比べて若干低いだけ。今回の試乗では、15.9km/L
が平均値となった。

サスペンションは少々硬めだが、敏捷なコーナリングを披露するわけではない。ステアリングの反応は正確で、挙動を予想しやすいものの、手のひらには期待するほどフィードバックが伝わってこない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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