カングーやベルランゴに劣らぬ実力 フォード・トルネオ・クーリエへ試乗 数字以上にキビキビ走る

公開 : 2024.01.28 19:05

カングーやベルランゴのライバルが、フォードから登場 オシャレな見た目に広大な車内空間 想像以上に運転が楽しい 英国編集部が評価

オシャレな見た目のワンボックスが登場

シトロエンベルランゴが、絶大な支持を集めた時期が英国にはあった。コンパクトなボディに大きな積載能力を備え、ファミリー層を喜ばせた。ところが近年はクロスオーバーが台頭。人気には陰りが出ている。

しかし、フォードはこの市場にまだ可能性があると考えたらしい。新しい、トルネオ・クーリエが発売された。

フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)
フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)

フォードのワンボックスには、商用バンのトランジットもあるが、トルネオは乗用車仕様。クーリエの全長は4337mm、全幅が1800mm、全高は1827mmで、新しいルノーカングーよりひと回り小さい。

プラットフォームは、コンパクト・クロスオーバーのプーマと同じ。カタチはだいぶ異なるが、ルーマニア工場の生産ラインも共有するそうだ。

ベルランゴにバッテリーEV版のe-ベルランゴがあるように、トルネオ・クーリエにも駆動用モーターで走る仕様が追加予定。だが2024年中は、1.0L 3気筒ガソリンターボエンジンのみの設定で、6速MTか7速デュアルクラッチATが選べる。

フロントマスクは、クロスオーバーのフォード・エクスプローラー似。ピラーがブラックに塗られ、ツートーンのルーフを備え、四角い見た目はかなりオシャレだと思う。実用主義な雰囲気とは、一線を画す。

インテリアのデザインも見栄えが良い。ダッシュボードには、メーター用モニターとインフォテインメント用タッチモニターが標準装備される。シートは小ぶりに見えるが、身長の高い大人でも座り心地は良いようだ。

車内空間は広大 内装の質感はいまひとつ

ただし、見た目ほど内装の印象が良いわけではない。硬質なプラスティック製部品が多用され、上質さでは同クラスのハッチバックに届いていない。小物入れは数が多いものの、形状が浅く、使い勝手は余り良くないかもしれない。

フロントガスの上部には、底の部分に穴が開いた荷物棚がある。強度は高そうだが、これも容量は小さめといえる。

フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)
フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)

荷室には、クルマから降ろせる小物入れがある。取り外して掃除できるから、泥で汚れた長靴やアウトドア・アイテムを積むのに丁度いい。センターモニターの横の穴は、スマートフォンのホルダーを固定するためらしい。

リアシート側の空間は広大。スライドできないが、背もたれは60:40で倒せる。ISOFIXのチャイルドシート用金具は2脚ぶん。荷室容量は、トノカバー下で570Lと大きい。リアシートを畳んで前方へスライドすれば、2162Lへ拡大できる。

3列シートが必要なら、ボディの長いトルネオ・コネクトを選ぶことになる。こちらはフォルクスワーゲンと共同開発された、別のモデルだ。

エアコンは、タッチモニターのサブメニュー内。実際に押せるハードボタンが並ぶものの、機能を網羅しているわけではない。音声操作システムも実装されるが、結局はタッチモニターを触れるよう指示されてしまう。

2025年に登場するバッテリーEV版には、大画面のタッチモニターが装備され、エアコンのメニューが常時表示されるとか。コスト上の理由なのか、内燃エンジン版には搭載予定はないらしいが、選べた方が良いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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