チェーン内蔵? 近未来的な冬用タイヤ、ボタン1つで切り替え ヒョンデ
公開 : 2024.01.23 06:05
・タイヤ、ホイール一体型のスノーチェーンをヒョンデが開発中。
・スイッチ1つでチェーンの展開と格納ができる。その仕組みは?
・寒冷地には嬉しい技術? 奇抜なアイデア、課題は?
スノーチェーン一体型のタイヤ 課題は?
冬、雪道でのタイヤのグリップをどう高めるか。このことについては多くの企業やドライバーが長年にわたって取り組んできた。
スタックを回避する方法は、スタッドレスタイヤからスノーソックスまで多岐にわたる。しかし、韓国のヒョンデ・グループが特許を取得し、いつの日か量産化を目指している新技術はとても奇抜なものだ。
この技術にはまだ親しみやすい正式名称はなく、今のところ「形状記憶合金一体型スノーチェーン・テクノロジー」と呼ばれている。
簡単に言えば、タイヤ、ホイール、スノーチェーンを一体化したもので、ドライバーがスイッチを押すと電気信号により金属製のワイヤーがタイヤから飛び出し、スノーチェーンの役割を果たす。
タイヤとホイールを横から見ると、まるでピザや水車のパドルのように一定間隔に区切られ、その隙間(深い溝)にスノーチェーンが埋め込まれている。チェーンは形状記憶合金でできており、電気信号を受けると「J」字型に変形し、これにより隙間から出て路面に接触する。電気信号が途絶えると、再び圧縮されて元の位置に戻る。
タイヤが受ける衝撃を考えれば、強度や耐久性を確保するのが難しいことは容易に想像できる。しかし、スノーチェーンの脱着は手間のかかる作業であり、豪雪地帯や寒冷地に住むドライバーにとってはありがたい技術かもしれない。
冬の運転については、国や地域によって向き合い方が大きく異なる。ドイツやスウェーデンなどでは、冬の間は冬用タイヤを装着することが法律で義務付けられているが、同じ欧州でも、英国ではそのような義務はない。
しかし、多くの地域で厳しく規制されているのが、路面を傷付けるようなスパイクやスノーチェーンの使用方法だ。ヒョンデの一体型スノーチェーンが実用化されるかどうかは、路面にどのような影響を与えるかにかかっている。
理論的には、チェーン規制のかかった道路区間でスノーチェーンを展開し、不要な区間では格納することができるだろう。そのため、冬期の移動が厳しい地域のドライバーにとっては魅力的かもしれない。