頂点に君臨するRS1600 低質なレプリカにご注意 フォード・エスコート Mk1 UK版中古車ガイド(2)

公開 : 2024.02.10 17:46  更新 : 2024.02.27 10:24

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

複雑な形状にプレスされたフロアは、錆びがちだが修復は難しい。フロントフェンダーやストラットトップ、フロントガラスを支えるAピラー、スカットルパネル周辺なども錆びやすい。

ストラットトップには、シャシー番号が刻印されている。これが正しい番号で残っているなら、状態の良い証拠といえる。

フォード・エスコート(Mk1/1968〜1975年/英国仕様)
フォード・エスコート(Mk1/1968〜1975年/英国仕様)

他にも、リアフェンダーやドアの底部、ヒーター回り、スペアタイヤや燃料タンクの周辺、シャシーレッグ、リアシート下のフロアパン、サイドシルなどが弱点。アンチロールバーとリアスプリングのマウント部分も要確認。

エンジン

4股の排気マニフォールドとツイン・ウェーバー・キャブレターが組まれ、1600GTでは87psという悪くない最高出力を発揮した。メキシコでは、160km/h以上のスピードまで軽々と加速した。

現存するエスコートは、エンジンが載せ替えられた例も少なくない。異音やエンジンオイルの消費量、オーバーヒートの痕跡などを確かめる。ラジエーターは、内部が詰まることがある。

RS2000では、カムシャフトが摩耗しがち。タイミングベルトの交換履歴を確かめる。

トランスミッションとサスペンション

構造はシンプル。クラッチとトランスミッション、アクスル、サスペンション、ステアリングラックなどの摩耗は考えられる。

4速MTは、仕様に応じて4種類のギア比が用意されていた。シンクロメッシュの効きや、回転時の異音、仕様に準じた品番かを確認する。

エスコート・ツインカムとRS1600、メキシコ、RS2000では、加速時にリアアクスルの沈み込みを防ぐため、ラジアスアームが追加されていた。これが備わらない場合は、見た目だけのレプリカな可能性がある。

インテリア

ベーシック・グレードの場合、内装トリムは入手困難。不一致の部品で代用されていることもある。

メキシコに設定された、リクライニング可能なRSクロス・シートが付くカスタム・パッケージは、現在では人気のオプション。ただし、合皮シートの方が耐久性は高い。

フォード・エスコート Mk1のまとめ

初代エスコートの価格は高騰中。他にはない魅力が需要を刺激し続けているため、値崩れする心配は当分ないだろう。課題となるのが、過去に実施された望ましくない改造や修理。高性能仕様の低質なレプリカにも、充分注意したい。

特別なエスコートを探すなら、時間をかけて詳細に調べることが重要。状態の良い例なら、現実的なランニングコストで、素晴らしく楽しいカーライフを謳歌できるはず。

良いトコロ

フォード・エスコート(Mk1/1968〜1975年/英国仕様)
フォード・エスコート(Mk1/1968〜1975年/英国仕様)

グレードを問わず運転が楽しく、クラシックカーとしての価値や注目度は高い。ボディパネルは再生産されており、入手しやすい。特にラリーで活躍した仕様の需要は、下がることはないだろう。

良くないトコロ

フォードのベーシックな量産車として作られたエスコートは、耐久性が高くない。完全なレストアには、高額が必要になる場合も。ボディシェルは複雑で、錆び始めると広範囲に広がってしまう。

フォード・エスコート(Mk1/1968〜1975年/英国仕様)のスペック

英国価格:971〜1932ポンド(1973年時)
生産数:108万2472台(合計)
全長:4065mm
全幅:1570mm
全高:1370-1410mm
最高速度:130-185km/h
0-97km/h加速:8.3〜19.6秒
燃費:8.9-12.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:769-849kg
パワートレイン:直列4気筒940・1098・1298・1598cc自然吸気OHV/1558・1599cc自然吸気DOHC/1993cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:40ps/5300rpm-116ps/6500rpm
最大トルク:7.1kg-m/3000rpm-15.4kg-m/4000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/3速オートマティック(後輪駆動)

フォード・エスコート(Mk1/1968〜1975年/英国仕様)
フォード・エスコート(Mk1/1968〜1975年/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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