日産リーフ その後

公開 : 2014.11.21 23:45  更新 : 2022.07.22 07:24

山梨県甲府で一般ユーザーとして極く普通に日産リーフを購入した小林 薫さん。過去、AUTOCARでは、そのリーフを使用した感想を2012年1月26日発売号から2013年2月26日発売号まで、約1年間にわたってレポートをしてきた。また、2014年2月26日発売号では「2年2万kmの長期使用報告」として、さらなるレポートをしていただいた。ここでは、2014年2月26日発売号の「2年2万kmの長期使用報告」を再録するとともに、今回新たに届いた「3年目の車検」についての報告を公開したい。

2年間2万kmの長期使用報告

リーフに乗り始めて2年を過ぎ、今も毎日が楽しく、快適な日々を過ごしています。購入前と比べ、日常が明らかに充実したものになりました。静寂性とか、加速性が良いとかだけでなく、リーフの運転そのものが魅力的なのです。3年前の夏、たまたま行った試乗会で、名前も知らなかったリーフに偶然出会えたのは、不思議な感じさえします。

日常をメインとした利用では、バッテリー容量に過不足はありません。電欠不安もしばらく乗って慣れたら、ほとんどなくなります。それに加え、今までクルマは単なる移動手段だったのが、一転とても興味の対象となり、人生そのものが豊かになった感じです。リーフは、そのようなインパクトを与えるクルマです。もうエンジン駆動車には戻れません。2011年12月のリーフ購入からの総走行距離は2万kmを越えました。走行性や安全性に関わるトラブルは皆無で、それはリーフの完成度の高さと言えそうです。また、念願だった中央自動車道の談合坂SAや諏訪湖SAにも充電設備が設置され、インフラ整備も全国各地で進んでいます。

この2年間、一体何が快適なEVライフをもたらしたのか? それは、「夜間の自宅充電」と「遠出は平日のみ」のふたつがその要因になっているようです。日常では、自宅充電で全く問題なく、ガソリンスタンドへ行くより間違いなく安価で快適。また、平日の遠出では、これまで充電スポットで待つことなく充電することができているからだと思われます。しかし人気の充電スポットでは、すでに休日は充電を待つ行列ができています。特に東名高速道路の足柄SAは1番の混雑になっており、休日の遠出はなかなか厳しい状況となってきています。EVは航続距離が問題と言われています。しかし、本質はそうではなく、充電に時間が必要なことではないかと考えています。急速充電設備が増えても、それ以上にEVが増え、休日の待ち行列は簡単には解消しません。また、バッテリー容量が増えても、1回の充電時間が長くなり、それはそれで問題となります。良く言われる充電インフラの充実とバッテリーの性能向上だけではEVの普及は望めません。

唯一の解決案は、何かをしながら充電する「ながら充電」の普及であり、これ以外に現実的な方法はありません。では、どのような「ながら充電」が有効なのでしょうか? それは、走行しながらの充電が、究極の「ながら充電」ではないでしょうか。要は、発電機能をEVに搭載することなしにEVの普及はないとも言えます。昨年、マツダからロータリーエンジンによる発電機を搭載したデミオEVの試作車が発表されました。これこそ多くの人が求めているEVではないかと思います。若い時に憧れたロータリーエンジンを搭載したEVは、考えただけでもワクワクした気持ちになります。もしリーフに発電用ロータリーエンジンが搭載されたら、間違いなく少し高くても売れるクルマになります。電欠不安の解消に加え、災害時やイベントへの活用も期待でき、本格的なEV時代の幕開けとなりそうです。

3年目の車検を迎えたリーフ

2011年の12月からリーフに乗り始めて約3年、街中で他のリーフに出会うことが多くなりました。急速充電スポットは、リーフを購入した2011年の年末で全国約800基。しかし、今は3200基を越える数になり、まだまだ増えそうです。また、複数ある充電スポット用の認証カードも、統一される予定になっており、より一層快適なEVライフを期待できる状況になってきています。

この秋は、リーフで山梨から雁坂トンネルをぬけて埼玉の奥秩父へ紅葉ドライブ。途中、西沢渓谷や三峯神社に立ち寄り、ちょうど見頃の紅葉を満喫することができました。宿泊は、奥秩父の老舗旅館谷津川館。ここに到着した時は、バッテリー残量がほとんどなく、チェックインと同時に100Vでの充電を開始。翌朝には満充電になっていましたが、なんと16時間も充電していました。遠出するEVにとって、100V充電は必須です。二日目は、日産東飯能店と談合坂SAで急速充電し、甲府へ帰りました。

リーフの購入時、一番気になったのはバッテリーの劣化、本当に5年や10年も走ることができるのか? そのような不安があり、リチウムイオンバッテリーの特性については、いろいろと調べました。そして、劣化がなるべく進まないよう、かなり気を使って充電してきました。急速充電をなるべく使わず、ほとんど自宅での普通充電を利用。それも充電量80%のロングライフモード。また、電欠やバッテリー温度が高温にならないようにも十分注意。しかしながら、車検の3ヶ月前になって、バッテリーの容量計が1セグメント減ってしまいました。その時の走行距離26500kmは、特に多い方ではないので、ちょっと意外な感じでした。この容量計は、新車時には12セグメントあります。充電方法などによる劣化の違いは、もちろんあるでしょう。しかし、充電やバッテリーの取扱方法で劣化を遅らせることは、難しいと分かりました。

3年目の車検の時期になると、航続距離はどのようなるのか? リーフは充電停止時に航続可能距離がメールで通知されます。その記録を見ると、新車時には、100%充電で170km程度ありました。ところが、車検前では、135km以下にまで減ってきています。実際、奥秩父に行った時も、航続距離が少なくなったと感じられました。但し、充電スポットが増えたおかげで、特に不便になったことはありません。また、日常の使用では、全く問題ない範囲です。しかし、この航続距離の減り方は、ちょっと想定以上でした。

リーフの購入時、日産のサポートプログラムに加入しています。これは、日産店での無料充電、ネット通信料、日産レンタカー料金の7割引き、車検時を含めた整備費用などが月額1543円で提供されています。しかし、この3年間レンタカーは必要ありませんでした。また、初回の車検代は、重量税も少なく、5万円以下の金額で済みます。電気代だけでなく、点検維持費なども安く、EVの魅力を再認識しました。

日産リーフを3台乗り継ぐ 小林薫氏が寄稿 長期レポートの前後関係

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