気づけば上の回転域まで回してしまうこともあり、平均燃費はゴルフが10km/ℓ代後半だったのに対し、フォーカスは10km/ℓ前半まで落ち込んでしまった。まぁ、それくらいに面白いエンジンであると受け取っていただければ幸いである。

エンスージアストに対するアピールは、乗り心地やハンドリングにも及んでいる。操舵に対する反応は、ゴルフのそれよりも味わい深くハツラツとしているうえ、より正確だと感じた。乗り心地はゴルフよりも硬いのだが、不快に感じることはなく、ボディ・コントロールもわずかの差でフォーカスのほうがうわてだ。

駆動輪の上に位置する3気筒エンジンの軽さも手伝って、軽々と鼻先をエイペックスに向けることができ、ミドル・コーナーの途中で軌道を調整する際も、歯切れよく反応してくれる。

しかし動力性能に関する印象はフォーカスが秀でると言えどもほんの僅かな差に留まっており、人によってはゴルフの方が優れていると結論づけることもあるかもしれない。それくらいに両者が近く、そして両方ともに高いレベルに達しているのだ。

結論

今回の対決は、ゴルフの能力の幅広さゆえに、結果的にフォーカスが惜敗する結果となった。しかし、モデルチェンジしたことにより、フォーカス史上もっともゴルフに近づいたクルマとなっているのは紛れもない事実だ。ちょっと遠回りして帰ろうかな……などというシチュエーションではフォーカスの方が(僅差ではあるが)ドライバーを楽しませてくれることも今回のテストで明らかになった。

しかしフォーカスの得意分野に負けないくらいの楽しさがゴルフにはある。それでいて、インテリアの質感や、細かいところまで行き届いた仕上げの丁寧さが加点されたことによりゴルフが勝利の座を掴んだというわけだ。ただし優劣こそついたものの、どちらを購入してもわれわれを満足させてくれることだけは間違いない。

(マーク・ティショー)

フォード・フォーカス1.0T エコブースト・タイタニウムX

価格	£22,295(411万円)
最高速度	193km/h
0-100km/h加速	11.0秒
燃費	21.3km/ℓ
CO2排出量	108g/km
乾燥重量	1270kg
エンジン	直列3気筒999ccターボ
最高出力	125ps/6000rpm
最大トルク	17.3kg-m/1800rpm
ギアボックス	6速マニュアル

フォルクスワーゲン・ゴルフ1.4TSI 122マッチ

価格	£20,335(375万円)
最高速度	203km/h
0-100km/h加速	9.3秒
燃費	18.9km/ℓ
CO2排出量	123g/km
乾燥重量	1225kg
エンジン	直列4気筒1395ccターボ
最高出力	122ps/5000rpm
最大トルク	20.5kg-m/1800-4000rpm
ギアボックス	6速マニュアル