スマホ感覚でクルマを保有する時代に? 「クルマのサブスク」浸透せずとも徐々に拡大 #令和のカネ

公開 : 2024.01.27 10:00

「クルマのサブスク」誰でも一度は耳にしたことがある言葉でしょう。取材を進めると、「クルマを持つにはいろいろとおカネが」「手続きが面倒くさそうで」そう思っている方にこそ、ぜひ知ってもらいたいサービスだったのです。

あれ? 「クルマのサブスク」って、今どうなった?

「サブスク」。その言葉が流行語大賞にノミネートされたのは2019年のことでした。そして、翌2020年には、有名俳優を採用したトヨタの「KINTO(キント)」によるクルマのサブスクのCMを頻繁に目にした人も多かったはず。

ところが、コロナ禍を経た近頃、クルマのサブスクの話題を耳にすることは激減。一体、クルマのサブスクは、今、どうなっているのでしょうか? ブームは去ってしまったのでしょうか?

ホンダNボックス。もちろんホンダの新車サブスク「楽まる」にラインナップされている。
ホンダNボックス。もちろんホンダの新車サブスク「楽まる」にラインナップされている。    宮澤佳久

そこで、クルマのサブスクに詳しい方にお話を聞いてみました。すると、その答えは以下のものでした。

「業界全体で言うと、(クルマのサブスクは)拡大傾向と捉えています」と即答してくれたのは、ホンダの新車サブスクを担当する株式会社ホンダファイナンスの営業開発部営業推進課の山田涼太氏です。

「クルマのサブスク」と聞くと、耳新しいビジネスに感じますが、実のところ、その中身は大昔からある「クルマのリース」と同じ。ただし、「クルマのリース」は法人向けの色合いが濃く、普通の人、特に若い人には関係のないサービスと思われていました」

「しかし、『サブスク』の流行にあわせ、クルマも個人向けに『サブスク』を提供しようというのが、昨今の流れだったのです。そして、ホンダが新車サブスクである『楽まる(正式名:楽らくまるごとプラン)』のサービスを本格的に全国展開したのは2021年からのことでした。

じわじわ拡大、ぞくぞく登場 サービスも多様に

そこからのホンダのサブスクの成績は、「最初の一期の新車購入者の『楽まる』利用率は平均3%でした。その後、うなぎ登りに利用率は向上していき、2022年度で8.4%。今期の上期は8.5%で、まだ伸びています」と山田氏。古くあるサービスの「リース」が、装いを「サブスク」と変えることで、大きく成長したというのです。

ちなみに、トヨタとホンダ以外でも、日産は「ClickMobi(クリックモビ)」、マツダは「マイカーリース」、スバルは「シンプルパッケージNeo」、スズキは「定額マイカー」、ダイハツは「スマパケ」の名前で、それぞれサブスクを用意しています。さらに最近では、ガソリンスタンドや独立系のクルマ販売店なども「クルマのサブスク」サービスを実施するようになっています。

スバル・クロストレック。トヨタと提携して「KINTO」のスバル版「KINTO ONE」が今夏スタートすると発表された。
スバル・クロストレック。トヨタと提携して「KINTO」のスバル版「KINTO ONE」が今夏スタートすると発表された。    宮澤佳久

また、最近ではサブスクのサービスの内容も多様化が進んでいます。スズキは、契約期間6か月という短期契約を用意しました。契約期間が短ければ、お試し感覚で利用もしやすくなります。

さらにホンダは新車だけでなく中古車でのサブスクもスタート。中古車をベースにすることで利用価格は、さらに安価になります。しかも、最短で1か月という超短期の契約も可能としています。安価に、しかも短期になることで、「クルマを手に入れる」ということ自体のハードルが低くなっているのです。

さらにはトヨタとスバルが提携して「KINTO(キント)」のプラットフォームを利用したスバル版「KINTO ONE(SUBARU)」も、この夏にスタートすることが発表されました。ちなみに、KINTOは、今年1月で設立5周年目となり、累計申込数が10万件を突破しています。

「ブームが終わった」ではなく、まったく逆の「静かに拡大している」というのが「クルマのサブスク」の現状だったのです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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