BYDシール 詳細データテスト 低速の快適性は要改善 高速域の長距離移動は快適 ハンドリング良好
公開 : 2024.02.03 20:25 更新 : 2024.02.12 17:55
内装 ★★★★★★★☆☆☆
BYDのインテリアは、ワイルドな形状とほかにはないような色使いも見慣れてきたが、単調な黒とグレーのゴムやプラスティックを与えられても斬新なデザインを仕上げてきた。そこには、BYDの原稿ラインナップに通じるフィロソフィが見て取れる。
いかにも人工的で、やや奇妙な感触のヴィーガンレザーはいただけないが、それさえ気にならなければ、シールのキャビンはこれまでのBYD車からステップアップしていると言える。すでに、競合車を上回る質感を備えているそこから、さらに高まっていると言うことだ。
ダッシュボードとドアトリムは、ほとんどがソフトな素材で覆われ、うれしいくらいソリッドな質感だ。グロスブラックのプラスティックも、表面ににぎやかしの模様を入れている。
ライトブルーのカラースキームが気に入らなければ、もっと控えめなブラックの選択肢もある。そのほうがキレイに保ちやすいかもしれない。テスト車は装飾付きだったが、たった1週間乗っていただけでもかなり汚れた。
そこはまめに拭き取れと言う話だが、それよりせっかくのプレミアムな経験を損なう要素が臭いだ。アット3やドルフィンほど気にはならなかったし、ケミカルなラベンダー風芳香剤みたいな新車の香りとなっていたが、気に入らないと言うテスターが多かった。
操作系のほとんどは、90°回転可能な15.6インチの大型センターディスプレイに集約され、実体操作部はわずかだが、その選択には疑問が残る。ミラーやメディア音量の調整、オートホールドなどは便利だ。しかし、ブラインドスポットウォーニングやマッド&スノーモード、エアコンオフなんて使用頻度の低いものは、もっとよく使う機能に場所を譲ればいいのにと思う。
それ以外は手当たり次第、タッチ画面インターフェイスへの統合が求められた。ありがたいことに、ディスプレイの反応は素早く、表示はキレがいい。しかし、ホーム画面に表示される機能はほんの一部で、ほとんどがメニューの階層掘りを必要とする。
たとえば室温調整は、画面下端を上へスワイプして操作部を表示させる。シートヒーターはそれに加えて、2度タップしないとメニューを呼び出せないし、その場合は全画面をシートヒーター操作系が埋め尽くす。そこからApple CarPlayへ戻るには、やはり2タップが必要だ。
ショートカットをいくつかは設定できるが、その操作は容易ではない。音声操作は十分な助けにはなってくれないレベルで、きわめてベーシックなコマンドでさえ、一言一句クリアに発音しないと認識しない。しかも「できません」で片付けられる項目があまりにも多すぎる。おかしな英訳や、まともじゃない句読点の位置も気になって仕方ない。
室内装備では、ワイヤレス充電がふたつ。まともなサイズのドリンクホルダーがふたつ、センターアームレスト下の深い小物入れ、センターコンソール下の大きなトレーがある。ただこのトレー、走行中に置いたものが動いて音を立てる。カーペットかゴム引きがほしかったところだ。
後席レッグルームは、ヒョンデ・アイオニック6にごくわずかながら及ばなかった。とはいえ、ヘッドルームははるかに大きく、シートの角度はずっと快適。リアシートに座る同乗者は、シールを支持するはずだ。