BYDシール 詳細データテスト 低速の快適性は要改善 高速域の長距離移動は快適 ハンドリング良好

公開 : 2024.02.03 20:25  更新 : 2024.02.12 17:55

走り ★★★★★★★★☆☆

2モーターのシールは、にわかには信じがたい530psで0−100km/hが3.8秒というハイスペックだが、1モーターの後輪駆動版でも312psと十分に力強い。1モーターの競合モデルの中で、これを上回るものはない。寒く路面が湿ったテストコースで、後輪駆動のシールは公称0-100km/hタイムの5.9秒にコンマ2秒届かなかった。

ファミリーカーBEVにとって、これが瞬発力不足なのかどうかは甚だ疑問だ。とはいえ、パワーで劣るテスラ・モデル3の後輪駆動版が、スペック表により早いタイムを記しているのは、重量差によるものだろう。その後、190km/hのリミッターに至る加速は、スマートに続いていく。

1モーターで312psというのはクラス最強レベル。ブレーキ性能もまずまずだが、回生ブレーキにはワンペダルに近い運転ができる制動性能がほしかった。
1モーターで312psというのはクラス最強レベル。ブレーキ性能もまずまずだが、回生ブレーキにはワンペダルに近い運転ができる制動性能がほしかった。    JACK HARRISON

公道では、常に気持ちいい活発な走りを見せる。バッテリー残量が30%以下になると、あからさまにパワーダウンするが、それでも、もともと312psあるのが大きい。

スロットルレスポンスには、意図的な味付けがされている。どの走行モードでも、床までペダルを踏み込んでみても、パワーは徐々に出るようなセッティングだ。すべての操作に対して遅れがあるスマート#1ほどひどくはないが、直観的なドライビングを損ねてはいる。エコモードでパワーが絞られるというのは理解できるのだが。

回生ブレーキのモードはふたつ。スタンダードはなかなか減速しないが、より強い方でも効きはマイルドで、ワンペダル運転できるほどではない。最新BEVとしては、もう少し調整幅の広さがほしいところだ。113km/hからの静止が51.4mというのは長めだが、コースの今比ションの割には良好。ブレーキペダルは軽くてトラベルが長く、自信をもたらしてくれるほどではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事