60年の「ベスト・オブ・ベスト」 1960年代から2010年代まで 欧州COTYの1番を選ぶ(1)
公開 : 2024.02.11 17:45
1960年代 NSU Ro80/ルノー16/ローバー2000
1963年に発売されたローバー2000は、欧州COTYの指針を具体的に定めた、基準点的なモデルだ。スタイリングを担当したのは、デビッド・ベイチュ氏。空力的に優れ、適度にコンパクトで、先進性と伝統性が巧みにブレンドされていた。
従来のブランド支持者を落胆させず、ターゲット層を広げたといっていい。リアサスペンションは知的なドディオン式で、タイヤの接地性を担保。スポーツカー顔負けの、ダイナミックな走りを実現していた。
それまで長く現役だったローバーP4を置き換えるモデルとして、安全性にも配慮されていた。ディスクブレーキは前後に標準。キャビンのレイアウトは人間工学的にも練られ、美しいだけでなく機能的でもあった。
その内容の濃さを考えれば、初の欧州COTYへ選ばれても不思議ではないだろう。審査員から76ポイントを集め、先進的な技術を満載したメルセデス・ベンツ600を2位へ抑えた。1964年の3位は、ヒルマン・インプだった。
審査では、2000の乗り心地や操縦性、価格価値、製造品質を高く評価。僅かにポイントを下げたのは、新開発の1978cc SOHC 4気筒エンジンだった。燃費は悪くなかったが、高速道路も余裕でこなせた90psの最高出力は、もの足りないと感じられたようだ。
それから約60年。走行距離たった1万4500kmの1966年式2000を持ち込んでくれたのは、自動車の広告業界で活躍してきたデニス・チック氏。少しパワフルなTCグレードではあるが、やはり、ちょっと力不足な印象は変わらないといえる。
この続きは、欧州COTYの1番を選ぶ(2)にて。