「リアシート」での時間はLSを超える レクサスLM 350hへ英国試乗 不足気味のトルク

公開 : 2024.02.05 19:05  更新 : 2024.03.05 14:05

余裕を持って動かせるトルクは得られない

リアシートには、飛行機のようなテーブルが仕込まれている。タブレット風のリモコンもあり、スマートフォンの充電は、コンソール内でまかなえる。授賞式や祝賀会に備えて、ヒーターやベンチレーション、マッサージ機能で身体を整えることもできる。

シートの前方には、48インチのワイドモニターを装備。その上の隙間から、進行方向の様子を覗ける。

レクサスLM 350h(英国仕様)
レクサスLM 350h(英国仕様)

左右個別に認識可能な、音声操作システムも備わる。エアコンやインフォテインメント・システムを、独立して操作できるという。これをリアシートへ実装したのは、量産車初だとか。

前席側の空間は、後席と比べれば限定的ながら、姿勢を正したドライビングポジションは快適。内装素材や仕立ては同等に最高級で、まったく不満は抱かないだろう。

唯一惜しいと感じるのが、ハイブリッド・パワートレイン。車重2345kgのLMを、余裕を持って動かせるトルクまでは得られない。アクセルペダルを7割ほど傾けると、トヨタ方式らしくe-CVTがエンジンの回転数を高め、上質さに若干陰りが出てしまう。

実際、深めに右足を傾ける回数は多いだろう。大きく四角くい車内空間は、外部ノイズを共鳴させやすく、薄っすらとエンジン音が聞こえてくる。それでも、穏やかに流し始めれば、しなやかな乗り心地と秀でた洗練性に心が打たれる。

従来のリムジンより優れるリアシートの時間

背の高いプロポーションは、身のこなしに好ましい影響は与えない。しかし、風切り音はしっかり抑えられ、乗り心地はしなやか。カーブでもフラットさを保ち、路面の段差をしっかり吸収してくれる。エアサスペンションほどではないけれど。

少々お値段は張るかもしれない。だが、リアシート以外に座らず、そこで過ごす時間を最重要視するのであれば、従来のリムジンより優れていると感じる可能性は高いだろう。より詳細に、LMを評価する必要がありそうだ。

レクサスLM 350h(英国仕様)
レクサスLM 350h(英国仕様)

レクサスLM 350h(英国仕様)のスペック

英国価格:11万2995ポンド(約2102万円)
全長:5130mm
全幅:1900mm
全高:1945mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:8.7秒
燃費:14.2km/L
CO2排出量:163g/km
車両重量:2345kg
パワートレイン:直列4気筒2487cc自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:−kWh
最高出力:250ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:24.2kg-m/4300rpm(内燃エンジン)
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動/四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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