磨き上げたパフォーマンスに安心感を添えて マクラーレン750Sの実力チェック

公開 : 2024.01.30 17:05

・マクラーレン最新モデル、750SにTHE MAGARIGAWA CLUBで試乗
・軽量化、空力向上 「らしさ」を大切にしたアップデート
・乗り手に安心感を与える高性能 さらなる高みへ

すべてが機能に裏打ちされた進化

いよいよ日本に上陸したマクラーレン750Sに試乗する機会を得た。その舞台となったのは千葉県南房総市にあるTHE MAGARIGAWA CLUB。スーパーカーのパフォーマンスを満喫するのに相応しい、セレブリティたちが集う会員制のサーキットだ。

全長3.5km、800mのストレート、80mの高低落差に上り坂の最大勾配が20%という、名だたる国際格式のコースの設計者であるティルケが手がけたテクニカルなコースとして知られている。

マクラーレン750S
マクラーレン750S    マクラーレン・オートモーティブ

750シリーズは「マクラーレンの本丸」と言わしめる、マクラーレンではスーパーシリーズに位置づけられたロードカーで、2017年に導入した720の進化版。

720といえば、このクラスのライバルたちを凌駕するスペックもさることながら、スーパーカーのパッケージングをハイパーカーの性能をもって実現し、ドライバーエンゲージメントと称される抜群の操縦性と、オンロードにおける快適性を両立してみせたシャシー性能が特徴といえるだろう。

そんな720から750に向けた進化は外観にも現れている。まずはエアロダイナミクス。

アイソケットと呼ばれるヘッドランプはインテークが細く描かれ、ラジエーター用のエアインレットの形状を見直して冷却性能を最適化。2ピースだったスプリッターは一体化して延長し、ダウンフォースの強化を図っている。

カーボンファイバー製のリヤウイングはより高く、長くなっている。ボディサイドはシートからリヤタイヤの間にあるインレット形状を見直すことで、エンジンの冷却性能を高めているという。

極限のパフォーマンスと日常性能の向上を両立

インテリアは最新世代のものにアップデートされている。インフォテイメントのディスプレイはアルトゥーラと同じ高輝度なモニターが採用され、Apple CarPlayに対応。iPhoneの音楽アプリを使ってストリーミング再生をすれば、気分に応じたBGMを楽しめそうだ。

また、マップアプリと連携できるのも嬉しい進化といえるだろう。ステアリングは指先で操作できるスイッチが配置されており、運転中の使いやすさにも配慮されている。

マクラーレン750S
マクラーレン750S    マクラーレン・オートモーティブ

カーボン製のレーシングシートは薄く軽量なもので、それでいてシート表皮は身体に馴染み、クルマと一体感を保つホールド性と心地良さが両立されたものだ。

さらに、マクラーレンの美点といえば、スーパーカーでありながら、死角が少ない運転視界を実現していること。カーボン製のモノコックによる極めて細いAピラー、ガラス張りのCピラーによって車内に光が射し込んで明るく感じられる。室内からV8エンジンを眺められるのもいい。

注目したいのはさらに軽量化されたボディと洗練されたシャシー性能。ヒューエルパイプなどを追加しながらも、超軽量アルミホイールやカーボンファイバー製のレーシングシート、サスペンション、ウインドシールドなどを見直すことで、車両重量はトータルで30kg低減している。

ドライバーエンゲージメントとオンロードでの快適性を高次元で両立させるユニークなサスペンションシステムはフロントが3%柔らかく、リヤは4%硬いセッティングに変更されているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    藤島知子

    Tomoko Fujishima

    クルマ関連情報を走り好き目線と女性視点を交えながら紹介。テレビ神奈川の新車情報番組「クルマでいこう!」ではお茶の間の幅広い世代に向けて魅力を発信中。2002年よりモータースポーツに参戦、2021年はKYOJO-CUPやスーパー耐久でドライバーとして奮闘。日本自動車ジャーナリスト協会会員。2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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