フォルクスワーゲンを「ナイスガイ」にしたい 次世代EVの目指すもの

公開 : 2024.01.31 06:05

新型ID.2とゴルフの位置関係

――ID.2はゴルフと比べて、どのような位置にあるのでしょうか?

「ID.2allコンセプトでは、真のフォルクスワーゲンを作りたかった。これがわたし達に課せられた課題でした。わたし達はブランドとその象徴を分析し、3つの価値(安定感、好感、秘伝のタレ)を導き出しました。それは50年前のゴルフと同じです」

ミント氏がデザイナーとして携わった第7世代のフォルクスワーゲン・ゴルフ
ミント氏がデザイナーとして携わった第7世代のフォルクスワーゲン・ゴルフ

「これがベースとなり、それにマッチするデザインを考えました。その結果生まれたのがID.2allです。(現在と未来の)ゴルフのように見えますが、ゴルフ4や初代ビートルの要素もあります」

「本来のフォルクスワーゲンに何が必要かを分析すると、ゴルフに戻ってくるのです」

――あなた自身もゴルフをデザインしてきた歴史がありますよね。

「わたしはゴルフ7の開発チームに所属していました。フィリップ・レマース(現アウディのエクステリアデザイン責任者)、マルク・リヒテ(現アウディのデザイン責任者)、そしてわたしの3人がデザインを指揮しました。わたし達はこのクルマのために必死で戦ったんです」

「何世代にもわたるゴルフの長所を1つのモデルにまとめよう、というのがテーマでした。なぜゴルフ7がこの姿になったのか、説明するのに2時間は話せますよ」

シンプルながら質感の高いインテリアを

――シンプルなデザインでありながら高品質な素材を使用した既存車と比較して、ID.2allのインテリアのコストはどうなるのでしょうか?

「(コストは)変わらないかもしれませんが、質感を向上させています。インテリアは複雑でない方がコストを節約できるため、その分、素材に還元するのです」

フォルクスワーゲンID.2allコンセプト
フォルクスワーゲンID.2allコンセプト

「今は派生が多すぎて、カラーやホイールの種類もたくさんあります。わたし達はそこから脱却し、すべての人に異なるクルマを提供するパーソナライゼーションに取り組んでいます。米国では、クルマはディーラーのヤードで買うものです」

「コンフィギュレーターに2時間かけても何を注文したのかわからない……ということがないようにオプションをシンプルにし、パッケージと組み合わせます。減らすのがわたし達の仕事であり、デザインもその一環だと考えています」

「ここまで量産に近づいても、安価なプラスチック部品が見られなくなったことを、わたしは誇りに思っています。わたしはベントレーで素材の素晴らしさを感じ、このことを学びました」

「レザーに見えるものはすべてレザー、金属は金属、木材は木材です。本物の素材は気持ちがいい」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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