今でも斬新:シトロエンXM 新時代を告げた:アルファ・ロメオ156 ハッチバックを再定義:フォード・フォーカス 欧州COTYの1番を選ぶ(5)
公開 : 2024.02.17 17:46
すべてが当時基準で素晴らしい156
当初のエンジンは121psの1.6Lと157psの2.0Lという直列4気筒に加えて、24バルブ2.5L V型6気筒も用意。魅力的なラインナップを構成した。
サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアがマクファーソンストラット式。シャシーはフィアット・ベースだったが、大幅な改良が加えられていた。当時の審査員、56名中、40名が最高得点を与えている。
その年の2位は、フォルクスワーゲン・ゴルフ Mk4。3位には、新しいアウディA6が続いた。
デビッド・ウォラル氏がオーナーの、ブラックの156を運転すれば、優勝を掴んだ結果に疑問は抱かない。「この156は、年月が経つほど良く感じられるクルマの1台ですね」。とスティーブが笑顔を見せる。
「スタイリング、ボディサイズ、サウンド、ハンドリングなど、すべてが当時基準で素晴らしいと評価できます。かつてのアルファ・ロメオらしい、信頼性という弱点は抱えていましたが」
レイも156の魅力には勝てない。「これは、見た目と同じくらい優れた走りを叶えた、新時代のアルファ・ロメオの始まりを告げました。今でも、コンパクトなスポーツサルーンとして充分に楽しめます」
マットもうなずく。「大きなドアのボタンを押した瞬間から、ドライバーを喜ばせるためにデザインされたことが伝わってきます。ドライビングポジションは良くありませんが、運転は素晴らしい。見た目も。良いクルマだと思います」
ハッチバックへ期待するすべてを再定義
1999年の欧州COTYに選ばれたフォード・フォーカスも、伝統あるブランドの新しい幕開けを告げたモデルだった。「ニューエッジ」と称された、モダンでシャープなデザインは、まさにそれを象徴していた。
3ドアと5ドアのハッチバック、4ドアのサルーン、5ドアのステーションワゴンというボディスタイルが用意され、マルチリンク式サスペンションをリアに採用。クラス・ベンチマークといえる秀でた走りを、グローバルモデルとして世界各国で披露した。
今回のフォーカスは、フォード・ヘリテイジ部門が管理する車両。エンジンは1.6Lで、新車時は中心的な選択肢といえた。3名の審査員は、いずれも肯定的な意見を口にする。
「フォーカスは、エスコートからの飛躍でした」。と振り返るのはレイ。「ステアリングは完璧で、操縦性はこのクラスの最高水準。入念な技術開発が施され、スタイリングは端正で、パッケージングも優秀といえます」
スティーブも続ける。「発売当時は、驚くほど完成度の高いクルマでした。乗り心地はしなやかで軽やかで、現代にも通用します。先代からの驚くべき進歩でしたね」
そんな好印象を、マットがまとめる。「フォーカスが優れていたことは間違いありません。ファミリーハッチバックへ期待するすべてを、再定義したモデルだと思います」。1990年代の欧州COTY代表として、相応しいコメントだろう。
協力:フォードUK社