ほぼパーフェクトな第一印象 マクラーレン・アルトゥーラ HVスーパーカーを普段使い 長期テスト(1)

公開 : 2024.02.11 09:45

より速く、より軽くを追求してきた、マクラーレン最新のアルトゥーラ 普段使いで新たな発見はあるのか V6ハイブリッド・スーパーカーの実力を長期テストで確認

初回 開発の遅れたハイブリッド・スーパーカー

マクラーレンアルトゥーラの発表会が開かれたのは、2022年の夏だった。それは、開発の遅れで2021年の秋から延期されたものだったが、それでも完全には仕上がっていなかった。

「新技術に関する課題を解決できれば、アルトゥーラは素晴らしいクルマになるでしょう。まったく新しいカーボンファイバー製タブシャシーにV6エンジン、8速トランスミッション、インフォテインメント・システム、プラグイン・ハイブリッドを含めて」

マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)

初試乗したマット・ソーンダースは、1年半前にこうまとめていた。そして、まだ完成には時間が必要そうだとも記していた。

筆者は、アルトゥーラの野心的な高みに考えを巡らせる。規模の小さいアストン マーティンは、新しいSUVのためにプラットフォームを開発し、竣工したばかりの工場で製造を開始した。これと同じくらい、一筋縄ではないプロジェクトだったに違いない。

アルトゥーラに積まれる新しい3.0L V6ツインターボエンジンだけでも、排気ガス規制に合致させ、世界中で認可を得ることは、想像を絶するほど大変なはず。アストン マーティンは途中で諦め、メルセデスAMGを頼っている。

電動パワートレインは、より速く、より軽くを何世代も求めてきたマクラーレンにとって、頭痛の種だったことも間違いない。初期トラブルが多発しても、疑問は抱かない。それでも、アルトゥーラは本物である必要がある。

付いていたオプションは合計で約558万円

長期テストにやって来たオレンジ色の車体は、量産前のプロトタイプではない。開発が終わった、顧客へ試乗させるための量産仕様だ。慣らし走行もある程度済んでいる。天候を問わず、しばらく筆者の足として活躍してもらうことになる。

このクルマと一緒に過ごせることへ、興奮しないといったら嘘になる。車重約1500kg、最高出力680psを掲げるハイブリッド・スーパーカーのカギが手渡されたら、誰でも胸が高鳴るだろう。だが、そんな気持ちを抑えて接する必要があることも知っている。

マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)

オプションについて、要望することは難しかった。沢山の注文へ応えるのにマクラーレンは精一杯で、希望通りの内容を待っていたら、夏を過ぎてしまうだろう。もう充分に筆者は待った。

冬のスタートだから、アルトゥーラは寒くて濡れた路面を相手にしなければならない。オールシーズン対応のスーパーカーだと証明できれば、新たなストロングポイントとして主張できるはず。

筆者が希望したのは、長距離ドライブを考えて、快適なシートとノーズリフト機能。これが備わる既存のアルトゥーラには、合計で3万ポンド(約558万円)のオプションも載っていた。このクラスの実情を考えれば、控えめな内容だとは思う。

その1つが、ナッパレザーとチタン、アルカンターラで内装が仕立てられるパフォーマンス・インテリア。テクノロジー・パッケージは、12スピーカー・ステレオにアダプティブ・クルーズコントロール、バックカメラ、レーンキープ・アシストなどが追加される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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