やっぱりエンジンが大好き? 有名司会者リチャード・ハモンド「今の仕事」を語る

公開 : 2024.02.03 18:05

・自動車番組の司会者として知られるリチャード・ハモンドを独占取材。
・自ら手掛けるレストア事業、クラシックカーへの「愛」と今後の目標を語る。
・やっぱり「エンジン」が好き? クルマの未来とジャーナリズム。

自動車番組の司会者といえば、この人

リチャード・ハモンドは、国際的に人気のある自動車番組で23年間世界中を放浪してきたが、今では英国ウスターシャーの田舎に驚くほどよく馴染んでいる。

彼は10年以上、ロス・オン・ワイという町の近くに住んでいるが、自宅から30分ほど離れた工業団地に2021年に設立された「The Smallest Cog」というクラシックカーのレストア事業もあり、地元では急速に知られるようになった。

リチャード・ハモンド、レストア工房「The Smallest Cog」にて。
リチャード・ハモンド、レストア工房「The Smallest Cog」にて。    AUTOCAR

そして、レストア事業から生まれた配信番組『Richard Hammond’s Workshop』でも有名だ。

The Smallest Cogの設立は、ハモンドのクラシックカー・コレクションを何年にもわたって手入れしてきたニール・グリーンハウス、息子のアンソニー、弟のアンドリューという地元のレストアチームと関係している。

彼らは突然、ヘレフォードに借りていた賃貸物件を去らざるを得なくなった。技術者仲間を失いたくなかったハモンドは、そこでクラシックカーの仕事を請け負う事業の立ち上げを提案したのだ。

ハモンドは、テレビを離れても自身のレストア事業を持ちたいという願望を常に抱いていた。だからこそ、高級モデル(ジャガーEタイプや手付かずのベントレーなど)を思い切って売却し、リフトや工具置き場、最新鋭の塗装ブースなど設備の購入資金に充てたのだ。

The Smallest Cogには、予備スペース付きの中2階、テレビ関係者用の制作事務所、そしてハモンド自身のささやかなオフィスまである。12月のある朝、我が編集部7名がそこに詰めかけた。本誌AUTOCARのポッドキャスト『My Week In Cars』のクリスマス版を録音するために。

旧車のレストア事業にかける熱い想い

我々は2名のカメラマン(スチール、映像各1名)を連れていたが、ハモンド側からは『Richard Hammond’s Workshop』の番組収録のため、さらに2名のカメラマンが来ていた。ハモンドはセッティングの騒々しさには慣れていて、にこにこ笑いながら話してくれた。

爽やかな年末の朝だったが、階下の工房はスタッフによる3日間の大掃除の真っ最中であった。

自身のオフィスで本誌の取材を受けるハモンド。
自身のオフィスで本誌の取材を受けるハモンド。    AUTOCAR

今年の功績の1つに、1962年式オペル・カデット(通称オリバー)が英国のクラシックカーイベント「Festival of the Unexceptional」で賞を獲得したことが挙げられる。しかし、ハモンドの野望はそれだけにとどまらない。

「僕らはまだちゃんとしたことができていない。完璧な仕事をしたくても、大抵はオーナーの予算に制約されてしまう」とハモンドは言う。

「でも、夏にハンプトン・コート・パレスで開催されるコンクールの芝生を飾るような、完璧なショーカーを作りたい。そこで、僕の愛車フォード・エスコートRS2000の改造を計画しているんだ」

「きちんとした、妥協のないマシンにしたい。テレビで有名な男のものだからではなく、レストアが完璧だから招待してもらえるようにね。そのための技術はある」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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