相次ぐ不正に揺れるトヨタグループ 集合体の根本的原因はどこに? 認証不正と企業連合
公開 : 2024.02.02 17:45 更新 : 2024.02.02 17:52
相次ぐ不正に揺れるトヨタグループですが、根本的な原因はどこにあるのでしょうか。豊田会長の発言から示された「心構え」をトヨタグループという、企業の集合体である「企業連合」と「認証不正」について考察します。
トヨタグループがいま、大きく揺れている。
日野自動車、ダイハツ工業、そして豊田自動織機と、トヨタグループの中核企業で相次いで発覚した認証試験に係る一連の不正問題を受けて、トヨタ自動車会長の豊田章男が2024年1月30日、記者会見の中で謝罪した。
「絶対にやってはいけないことをやった」/「お客様の信頼を裏切った」/「(お客様、取引先などのすべてのステークホルダーの)信頼を取り戻すには時間がかかる」といった厳しい言葉が並んだ。
その上で、豊田はトヨタグループ全体の今後のあり方について語った。それがトヨタグループが進むべき方向を示した「ビジョン」である。反省し、原因を深堀りして追求し、そしてさらに前に進んでいこうというのだ。
この日、記者会見の前にトヨタグループ17社の経営者、また現場のリーダーらが集まり、豊田氏と「ビジョン」に対する意識の共有を図った。
ビジョンとは「次の道を発明しよう」。豊田佐吉翁が1891年に発明した「豊田(とよだ)式木製人力織機」という、トヨタグループの原点に戻って、トヨタグループの現状を見据え、さらに未来を考える。
近年、トヨタ自動車が新しい技術を紹介する際も、こうしたトヨタの原点を大切にする気持ちを示してきたが、これを改めてトヨタグループとして共有した。
「心構え」も共有
「次の道を発明しよう」というビジョンを掲げたうえで「心構え」も示した。
・誰かを思い、力を尽くそう。
・仲間を信じ、支えあおう。
・技を磨き、より良くしよう。
・誠実を貫き、正しくつくろう。
・対話を重ね、みんなで動こう。
これら「心構え」は、まさに一連の認証不正の解決策である。ただし、言うは易く行うはとても難しい。
難しさの背景にあるのは、対象がひとつの企業ではなく、トヨタグループという企業連合によって実現しなければならないからだ。
今回会見を開いた、JR名古屋駅近くのトヨタ産業技術記念館は、トヨタグループの原点である豊田自動織機の工場跡地に、トヨタグループ全社が主体となった1994年に設立した。設立当時は13社だったトヨタグループは現在、以下の17社となっている。
豊田自動織機/トヨタ自動車/愛知製鋼/ジェイテクト/トヨタ車体/豊田通商/アイシン/デンソー/トヨタ紡織/トヨタ不動産/豊田中央研究所/トヨタ自動車東日本/豊田合成/日野自動車/ダイハツ工業/トヨタホーム/トヨタ自動車九州という17社(表記順はトヨタのニュースリリースの通り)
一般の自動車ユーザーにとって、これら17社の名前の中には馴染みがないものがあるだろう。一方で、馴染みがある名前もあろう。