7年ぶりモデルチェンジで走りはどう変わった? 新開発エンジンの実力を測る 新型スイフトに試乗

公開 : 2024.02.02 18:05

・昨年12月に発売された新型スイフトに試乗
・注目は新開発の1.2L直列3気筒エンジンとCVTによる走行性能
・充実が図られた先進安全装備の使い勝手もレポート

築き上げてきたスイフトらしさ失わず

昨年のジャパンモビリティショーに「コンセプト」として参考出品され、12月(MTは今年1月)に発売された新型スイフト。発売されてから1か月ほどが過ぎ、まだ販売状況などの詳細は公表されていないが、それでも人気は上々だという。

試乗会に用意されたグレードはトップグレードのハイブリッドMZ(FF/CVT)。ボディカラーは訴求色のひとつであるクールイエローメタリック。

スズキ・スイフト
スズキスイフト    神村聖

光の当たり具合ではグリーンがかっても見える淡いイエローで、スイフトというとスポーティなイメージが強いが、このボディカラーなら女性にもウケそうな優しい色合い。

日本市場では5代目(グローバル市場では4代目)となる新型も、先代までのスイフトらしいシルエットを継承する。これは、新型スイフトの開発責任者である小堀昌雄氏が、デザイナーに対して要請したポイントだといい、遠目に見ても「スイフトだ!」と認識できる。

とはいえ、より立体的になったフロントマスクにつながるクラムシェルのボンネットや張り出したフェンダーから、実物をひと目見れば新鮮さを感じられるに違いない。

従来からのファンにも、新たなファンにも好感を持たれるデザインではないだろうか。

インテリアでは、ドアトリムからインパネを明るい色のパネルで連続させ一体感を強調。質感も従来型より高まっており、ひとクラス上にステップアップした印象だ。

試乗車のMZでは本革巻きでDシェイプふうのステアリングホイールも装備し、やはりスイフトはスポーティなイメージは忘れていないなとも思わせる。

郊外路と高速道路で試乗、実感したのは高い完成度

いざ試乗。新開発の3気筒エンジンはロングストローク化して低速からのトルク特性を重視しただけあって、けっこう初期ゲインは強い。ジワッとアクセルを踏みこんで、スムーズなスタートを心がける。

新開発のCVTとの相性も上々。郊外路を走っているとレスポンス良く、効率的な回転域を使ってくれる。少し荒れた路面でも乗り心地は不快ではなく、路面の継ぎ目では衝撃を抑えつつ上手に収束させる。

スズキ・スイフト
スズキ・スイフト    神村聖

パワートレーンはスズキ得意のマイルドハイブリッドだが、インジケーターを見ていないかぎりモーターのアシストは気づきにくいほど自然。

ストロングハイブリッドと違ってモーターのみの走行はできなくとも、市街地走行では頻繁にアイドリングストップし、燃費向上に貢献する。エバポレーターに蓄冷材を内臓した「エコクール」も備え、アイドリングストップしても冷房性能に心配はない。

ハンドリングはひとことで言えば素直。代々「スイスポ」と呼ばれ親しまれるスイフトスポーツもかくやというような、よどみのないフィールだ。

コーナリングではロールも抑えられ、安心感がある。この優れたハンドリングを知ってしまうと、新型のスイスポの登場にも、がぜん期待が高まるものだ。

今回は高速道路でも試乗できた。エンジン回転数は80km/hで約1500rpm、100km/hで約2000rpm。高速でも締まった乗り味でノイズも低い。

ACCも扱いやすく、高速道路では車線中央をキープして安定した走りを見せる。前車に追いついたときの減速や、いなくなったときの加速もスムーズで、必要以上にエンジン回転数を上げることもない。これなら、高速での長距離クルージングも快適に過ごせそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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