ミニ・クーパーSDクロスオーバー

公開 : 2014.11.01 16:01  更新 : 2017.05.29 19:14

ディーゼルにおける騒音の代償はトルクである。クーパーSDの最大トルクは31.1kgm。ひと昔前だったら3.5ℓ6気筒ガソリン自然吸気なみのその太いトルクは1750rpmから2700rpmの間で発揮される。確かにそれが生む加速は力強く、箱根の峠道では回転を2000rpm前後に保ったまま3速や4速で悠々と登って行く。であれば、もうひとつ高いギヤで燃費よくと思ってパドルで——左アップの右ダウンでなく押してダウンで引いてアップという旧弊な仕立てだから間違えそうになってしまう——ギヤを上げようとしても、A/Tは1500rpm以下でエンジンを使わないようにプログラムされているらしく、それは拒否される。ディーゼルは低回転トルクが看板だと思われているが、あまりにピストンスピードが遅いと燃焼が乱れて排ガス面でも苦しくなるから、思い切り低い回転は苦手なのだ。それゆえか、6段A/Tのトップで100km/h出すと2200rpmとなる。超ハイギヤードとは言えないギヤリングではある。

自動変速に任せて、通勤車が出てきた街中を流すと、そのあたりの回転数になる。こういうシークエンスでは他の騒音源に紛れて、さほどエンジン起因の音振は目立たない。だが、そこから緩加速すべく少しアクセルを開けると、低回転大負荷を厭うようにN47C20A型はゴロゴロと身震いをし始める。緩やかな加減速を繰り返す日本の道路よりも、一定のスピードを保って走りやすい欧米の郊外のほうがエンジンの負の存在感は薄くて済むのだろう。

ではディーゼルの本分を無視してブン回すとどうなるのか。N47C20A型のレブリミットは5000rpm。しかし、最高出力発生回転の4000rpmあたりがちょうど境目で、それ以上ではみるみる勢いが減じて苦しくなる。アクセルの開度がもっと低い、せいぜい50%くらいまでで走る現実的なシークエンスだと、3500rpmくらいまでが美味しいところだと感じる。

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