クルマ屋の造ったEVとニューカマーの創ったEV ベンチマークを比較試乗 VW ID.4/テスラ・モデルY
公開 : 2024.02.07 17:45
2023年世界で最も売れ、今やEV界のベンチマークともいえるテスラ・モデルY(ロングレンジ)を比較試乗することにしました。選んだ相手はVWのID.4(ライト)で、そこからは設計思想の違いが見え隠れします。
ベンチマークという存在意義
テスラ・モデルY(ロングレンジ)とフォルクスワーゲンID.4(ライト)のそれぞれ最新モデルを一般公道で乗り比べてみた。すると「ベンチマーク」というキーワードが頭に浮かんだ。
ベンチマークとは、測量での水準点のことだが、一般的には様々な比較をする際の基準といった意味合いで使われる。
自動車産業界では、クルマのカテゴリー毎にベンチマークがあり、自動車メーカーが新車開発を行う場合にベンチマークを含めた複数の他社モデルを購入する。実験担当部署がテストコース/高速道路/一般道で比較走行をするのだ。
そんなベンチマークという観点で見れば、モデルYは当然、EVのべンチマークだ。EVといってもいまや、軽自動車から数千万円級のプレミアムモデルまで様々なEVがグローバルで販売されているが、それら全てのEVの中で、モデルYはベンチマークと言える存在だと言える。
さらに言えば、EVに限らず、いわゆる次世代車という括りでも、モデルYはベンチマークという印象を持った。なぜならば、モデルYは2023年に「世界で最も売れた自動車」だからだ。まさにベンチマークである。
常識破り
テスラのグローバル生産台数は184万5985台。販売は180万8581台。
このうち「モデル3」と「モデルY」の生産台数はあわせて177万5159台(販売173万9707台)で、残り7万826台(6万8874台)が「モデルS」と「モデルX」さらに少量ながら「サイバートラック」という構成である。
このうち、モデルYだけの販売数は約120万台となり、これはピックアップトラックのフォード「Fシリーズ」や、トヨタ「カローラ」などを抜いて世界第一位となった。
では、なぜモデルYはそんなに売れているのか?
今回、最新モデルに試乗して改めて感じたモデルYの魅力とは「これまでもクルマは本当にいろいろなことが大きく違う」という点だ。
モデル3も同様だが、モデルYのドアを開けて室内に入ると、他社にはないような大型ディスプレイがダッシュボード中央に位置し、一般的な操作系のスイッチ類がない。
テスラオーナーにとってはお馴染みの光景だが、初めてテスラに触れる人にとっては違和感があるほど、大きな違いだ。
最新型モデルYではナビゲーションの利便性が上がった。例えば、目的地検索の結果の中でスーパーチャージャー(テスラ社の急速充電設備)の位置や充電に対するアドバイスがすぐに出てくるのが心強い。