2月早々「2024年もっとも印象に残るクルマ」が決定? マクラーレン750S サーキットにて試乗

公開 : 2024.02.09 17:45

佐藤久実の中で「2024年のもっとも印象に残るクルマ」が早々と決定したようです。マクラーレン720Sから進化した750Sをサーキットにて試乗しました。これは新たな「ベンチマーク」だと表現されています。

マクラーレン750Sの立ち位置

マクラーレン750Sは、マクラーレン720Sの後継と位置付けられ、同社の中で最も軽量かつ最もパワフルなモデルだ。

自らが打ち当てたベンチマークを自らが新たな高みに引き上げた。約30%のコンポーネントを刷新もしくは変更、30psのパワーアップ、30Kgの軽量化によりスピードアップが図られた。

マクラーレン750S サーキット試乗
マクラーレン750S サーキット試乗

レーシングカーにしても市販スポーツカーにしても、開発に終わりはない。レギュレーションの中や、あるいはバジェットの中でエンジニア達は常にモアパワー、モアスピードを追求している。そんなことは百も承知だが、720Sにこんなにも伸び代があったとは…というのが正直な感想だ。

今回、鈴鹿サーキット東コースでの試乗機会に恵まれた。まずはシートに座り、コクピットドリルを受ける。私の試乗車は、フルバケットタイプだった。リクライニング機能を備える通常タイプのシートも選べる。

テレスコピック機能でステアリングを手前に出すと、ステアリングコラムにマウントされたインストルメントディスプレイも一緒に動く。どんな体型やポジションでも、メーターの視認性が確保されており、ドライバーオリエンテッドとなっている。

そして750Sから、ディスプレイの両サイドに、サスペンションとパワートレインのモード変更スイッチがレイアウトされた。ステアリングから手を離すことなく、目線を動かすことなく操作できる。

他にもさまざまな機能装備が充実したが、一等地とされるステアリングには一切のスイッチ類が配置されない。相変わらず、ステアリングフィールへの強いこだわりを感じる。

このまま離陸できる?

さて、いよいよ走行開始。

ピットロードをゆっくり走り出すとすでに快適性の向上が確認できる。が、そんなことを思ったのも束の間。制限速度解除と同時にアクセルを床まで踏み込んでいた。V8 4Lツインターボエンジンは750ps/81.58kg-mを備え、凄まじい加速力だが、けっして暴力的ではない。

マクラーレン750S サーキット試乗
マクラーレン750S サーキット試乗

そして、轟くエグゾーストサウンドも従来とは明らかに異なる。もちろんエモーショナルで、一気にドライバーを夢中にさせる。

まずは「コンフォート」で走る。大抵のクルマは、サーキット走行時にコンフォートモードだと姿勢変化が大きく乗りにくさを覚えるが、750Sは、これでも充分と思わせるほどロールも少なくフラットで気持ちよく曲がる。それでいて、サスペンションがしなやかに路面を追従している感覚があり、全体的にスムーズな動きが印象的だ。

ショートカットの最終コーナーを3速で立ち上がり、一気に加速していく。パドルシフトのレスポンスもクイックで、デジタルスピードメーターが忙しなく上がっていく。カラダがシートに押し付けられ、このまま離陸できるのではないかという勢いだ。

あっ、これ、あくまでも加速感の話であり、車体は離陸どころかダウンフォースによりしっかり路面に吸い付いているかのような安定感。なので、加速やスピードに対する不安感はゼロだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐藤久実

    Kumi Sato

    大学在学中にレースデビューし、耐久レースをメインに活動。ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースで入賞を果たす。モータースポーツで培ったスキルをベースにインストラクターとしても活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師の経験あり。日本カー・オブ・ザ・イヤー、World Car Awards、日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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