一生懸命を望む:フィアット・パンダ 最も未来を予兆:トヨタ・プリウス ブランド初EV:ジャガーIペイス 欧州COTYの1番を選ぶ(6)
公開 : 2024.02.18 17:45
欧州カー・オブ・ザ・イヤーが始まってから2024年で60年 これまでの受賞車で、ベスト・オブ・ベストはどれか? 英国編集部が1960年代からイッキ乗り
もくじ
ー2000年代以降 フィアット・パンダ/トヨタ・プリウス/ジャガーIペイス
ー一生懸命運転されることをクルマが望む
ー最も未来を予兆した1台だった
ーブランド初の電動クロスオーバー
ー2代目プリウスが2000年代以降の代表
ー2000年代の欧州COTY代表 3台のスペック
2000年代以降 フィアット・パンダ/トヨタ・プリウス/ジャガーIペイス
21世紀に入ると、SUVやクロスオーバーが一気に市民権を獲得した。ところが2000年以降でも、欧州カー・オブ・ザ・イヤー、欧州COTYへ選ばれたモデルは、サルーンとハッチバックが中心だった。
唯一、SUVへ近かったのがフォードのミニバン、Sマックス。2004年のCOTYに輝いたフィアット・パンダも、従来の枠を越えたモデルといえたが、5ドア・ハッチバックの延長といえた。
2004年に上位争いを繰り広げたのは、マツダ3と5代目フォルクスワーゲン・ゴルフ。これらも小さなハッチバックで、過去にない僅差でパンダが受賞している。
2代目は、1980年の初代並みに革新的とはいえなかったものの、プラットフォームは「フィアット・ミニ」と呼ばれる新設計のもの。フォードKaや、2007年に登場した500のベースにもなった。
当時の審査員が高く評価したのが、扱いやすいボディサイズと広い車内空間、考え抜かれた人間工学など。フィアット自慢の、マルチジェットと名付けられた1.3Lディーゼルエンジンは好燃費で、仕上がりも良かった。
スタイリングを担当したのは、カロッツエリアのベルトーネ社と、フィアットのデザイン部門。四角く可愛いシンプルな見た目が人気を力強く後押しし、2012年の生産終了まで複数の派生仕様が提供された。
今回ご登場願ったブラックのパンダは、ゲイリー・アクソン氏の2006年式100HP。ひと回り大きい、フィアット・プント用の1.4L 16バルブ直列4気筒エンジンを搭載する。毎日の通勤手段として活躍し、走行距離は16万kmを超えたそうだ。
一生懸命運転されることをクルマが望む
最高出力は、モデル名の数字通り100ps。6速マニュアルで、スプリングとダンパー、ディスクブレーキに専用アイテムが組まれ、ピリリとホットな走りを披露する。
「運転はかなり面白いですよ。16万km以上も走っているので、くたびれているとは思いますが」。と今回の企画の審査員、レイ・ハットンが笑みを浮かべる。
「もうじき20万kmに達するとは思えません」。マット・プライヤーが続ける。「30万kmを過ぎても、こんな感じなのかも。イタリアのコンパクトカーが好きだということを、改めて思い出しました」
「とても魅力的。一生懸命運転されることを、クルマが望んでいるようです」
もう1人の審査員、スティーブ・クロプリーもうなずく。「運転する人、全員へ笑みを与えるようなクルマですね。ボディもインテリアも、小さなスポーツカーのようにチャーミングですし」
「市街地を走るのに問題ない、しなやかな乗り心地も充分に備わっています。ボディサイズと当時の価格を考えると、本当に素晴らしい」
こんな運転の楽しさと少し距離をおいていたのが、翌2005年の欧州COTYを受賞した、2代目トヨタ・プリウスだ。歴代で初めて、ハイブリッド・パワートレインのモデルが他のノミネートを抑えて優勝している。
2代目プリウスは、2004年に登場。1997年に発表され世界の話題をさらった、初代を大幅に進化させたモデルだった。5ドア・ハッチバックとしてパッケージングが練り直され、初代よりパワフルで速く、燃費を改善させていた。