一生懸命を望む:フィアット・パンダ 最も未来を予兆:トヨタ・プリウス ブランド初EV:ジャガーIペイス 欧州COTYの1番を選ぶ(6)
公開 : 2024.02.18 17:45
最も未来を予兆した1台だった
その走りを支えていたのが、内燃エンジンと電気モーター、駆動用バッテリーを組み合わせた、トヨタ独自のハイブリッド・パワートレイン。当時は、ハイブリッド・シナジー・ドライブ(HSD)という名称が前面に打ち出されていた。
燃費優先で調整された77psの1.5Lガソリンエンジンを、電気モーターがアシスト。高出力・軽量化された駆動用バッテリーと組み合わされ、カタログ値で23.3km/Lの燃費を達成しつつ、0-97km/h加速10.9秒の称えるべき動力性能を備えていた。
今回の審査へ挑んだグリーン・シルバーのプリウスは、レイ本人の愛車。16年間も大切に乗っているそうだ。「信頼性が高く、リラックスして運転できることを、これまで実感してきました」。と自身の経験を話す。
また彼は、歴代の欧州COTYの受賞車で、最も未来を予兆した1台だったとも信じている。これには、残り2名の審査員も賛同するようだ。
「先進的な技術を、簡単で身近なものにしました。多くの支持を集める、定番的なモデルになりましたね。新しい5代目も、遅れて英国に導入されるようですし」。マットが、これまでの20年を振り返る。
スティーブは、パワートレインの複雑さに、当初は馴染めなかった人も多かったと話す。「プリウスの経済性や洗練性の驚異的な水準には、あまり目が向けられませんでした。メカニズムが、変なものだと考えられていたからでしょう」
「しかし、運転しやすく快適。耐久性も間違いないようですね。これほど多くのプリウスが、今でも英国の道を走っているのですから」
ブランド初の電動クロスオーバー
そんなトヨタ車のように、20年後のジャガーIペイスのことも、われわれは振り返ることができるだろうか。6年前に発売されて以降、バッテリーEVの技術は急速に進化し、選択肢が拡大した。筆者は、少し難しいように感じている。
だが2019年には、革新的な技術や充分な航続距離、急速充電能力、動的能力などへ、多くの審査員が感銘を受けたことは間違いない。素晴らしいスポーツカー、アルピーヌA110を僅差で抑えて、欧州COTYへ選出されたのだから。
前後アクスルに駆動用モーターを搭載し、ツインモーターでの最高出力は399ps。最大トルクは70.6kg-mと太かった。
0-97km/h加速を4.5秒でこなす鋭いダッシュ力を秘め、最高速度は199km/h。車重2133kgの5シーター・クロスオーバーとして、不足はなかった。
ところが近年は、ジャガーのバッテリーEV戦略は少し停滞しているように見える。軽量な後輪駆動のIペイスや、派生モデルの提供は始まっていない。ブランド初の電動クロスオーバーは、進化を止めたようだ。
スティーブが、冷静に鋭くコメントする。「とても良く開発されたクルマだと思います。同時に、高い価格を正当化させるため、過剰な技術を搭載することへ迫られていたことも表しています。250馬力の後輪駆動版では、成り立たないのかもしれません」
「それでも、見た目は今でも素晴らしい。動的にも高く評価できます」