スバル・フォレスター tS
公開 : 2014.11.25 19:56 更新 : 2017.05.29 18:42
車高の高いSUVとは思えないリニアなハンドリングは、まさに開発の狙い通りの仕上がりだったと紹介したい美点だ。アジリティはセダン並みに確保された印象で、ワインディングでは飛ばすほどにボディがひとまわりも小さくなったような、体に段々フィットしてくる感覚である。車高と目線の高いSUVで味わえるこのスピード感とハンドリングが生み出すコーナリングは独特で、初めて初代フォード・クーガに乗った時のことを回想させるほど、同様に衝撃的だった。tSのアウトバーン育ちは伊達ではない。
開発陣が目標としているとおり、これなら欧州のスポーティSUVと勝負したくなるはずである。ちなみにVDCや運転支援システムのアイサイトver2も、専用チューンが施されている。こうしたパートは乗らずには分からない、いわばツウ好みとなるtSの魅力だが、BBS製の19インチ鍛造ホイールやブレンボ製のブレーキ、チェリーレッドのストライプが入ったグリル、大型化された前後のスポイラーは、誰の目にもこのフォレスターが標準モデルとは違うことを意識させる。専用色となるWRブルーのボディカラー(期間限定色)を選べば、エクスクルーシブ性は完璧だろう。
インテリアもSTIの手法に沿ったチューニングが施されている。手触りの良いステアリングホイール、STIのロゴが入ったメーター、レザー調のインパネセンターバイザー、ブラックを基調に赤のアクセント入れた本革/スウェードのコンビネーション表皮を採用したスポーツシートはtSの名に相応しい専用装備群。加えて、ルーフライナーやピラートリムをブラックにし、さらにフロアカーペットやフロアトンネルには静粛性向上のためにインシュレーターも採用しているのはコンプリートカーらしいところである。
走りのパフォーマンスと快適性に徹底的にこだわり抜いた、STIというプロが手がけた仕事のレベルの高さが光るフォレスターtS。走りにうるさい欧州のディーラーが「ウチにも売らせろ」といって聞かない理由が、確かに分かったような気がした。大人の事情など放っておいて売れば良いのに。
(文・櫻井健一 写真・花村英典)
スバル・フォレスター tS
価格 | 435.0万円 |
0-100km/h | na |
最高速度 | na |
公称燃費(JC08) | na |
CO₂排出量 | na |
車両重量 | 1620kg |
エンジン形式 | F4DOHCターボ, 1998cc |
エンジン配置 | フロント縦置き |
駆動方式 | 4輪駆動 |
最高出力 | 280ps/5700rpm |
最大トルク | 35.7kg-m/2000-5600rpm |
馬力荷重比 | 173ps/t |
比出力 | 140ps/ℓ |
圧縮比 | 10.6:1 |
変速機 | CVT(リニアトロニック) |
全長 | 4595mm |
全幅 | 1795mm |
全高 | 1700mm |
ホイールベース | 2640mm |
燃料タンク容量 | 60ℓ |
荷室容量 | 488ℓ |
サスペンション | (前)マクファーソン・ストラット |
(後)ダブルウイッシュボーン | |
ブレーキ | (前)φ326mm Vディスク |
(後)φ316mm Vディスク | |
タイヤ | 245/45R19 |