ポルシェ・カイエン E-ハイブリッドへ試乗 「肉汁」たっぷりか、ビーガンか V6ターボのプラグインHV

公開 : 2024.02.17 19:05

カイエンがフェイスリフト ガソリンを燃やさず最長88km走れるプラグインHV 快適な乗り心地にシームレスなパワートレイン 英国編集部が評価

ガソリンを燃やさず最長88km走れる

突然だが、筆者が選べるなら「S」にするだろう。でも、早合点しないで欲しい。ポルシェカイエン E-ハイブリッドは、素晴らしいSUVだと思う。

全力ダッシュを求めれば、178psの駆動用モーターが3.0L V6ターボエンジンのトルクを補い、4.0L V8ツインターボに負けない勢いが放たれる。しかし、ハイブリッドのパワートレインが、それを超える興奮や賑やかさを与えることはない。

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)
ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)

英国では一般的な、会社からの貸与車両として乗る場合、プラグイン・ハイブリッドは税制面で優遇される。とはいえ、本当に納税額を減らしたいなら、バッテリーEVを選んだ方が間違いない。

スペック表の燃費は、55.5-66.7km/Lと優秀。現実的には、丁寧にアクセルペダルを傾けても、平均で11.0km/Lを超えることは難しいのだが。

それでも、25.9kWhの駆動用バッテリーを搭載し、最長88kmまでガソリンを燃やさず走れると主張される。少し甘く算出された数字ではあるが、確かに望ましい能力だ。市街地を静かに走り抜けるのは、気持ちがイイ。

小型犬を散歩させていたご婦人は、車重2445kgの大型SUVが賑やかに接近するのを目にし、少し不満げだった。そんな時は、ステアリングホイール上のボタンを押し、エレクトリック・モードへ切り替えるのが良い。ノイズで、気分を害することはなくなる。

快適な乗り心地 シームレスなハイブリッド

そのまま、ハイブリッドとスポーツ、スポーツ+の各モードも選べる。試乗車にはアダプティブ・ダンパーが組まれ、車高も変化していた。最も走りに積極的なモードでも、カイエン E-ハイブリッドの乗り心地は落ち着いている。

サスペンションの設定をコンフォートにすれば、21インチ・アルミホイールを履いていても快適。多くの大型SUVと同じように、傷んだ路面を処理してくれる。

ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)
ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ(英国仕様)

回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替わりは滑らかで、効き具合を予想しやすい。5分も運転すれば、カーブへの侵入時のブレーキングポイントを、詰めていける。

交差点の停止線へ、ピタリと1発で止めることも難しくない。プラグイン・ハイブリッドの場合、これが簡単ではないモデルも少なくないと、AUTOCARの読者ならご存知だろう。

8速ATは、ステアリングホイール奥のシフトパドルで、素早く操作できる。マニュアル・モードを解除すれば、内燃エンジンと電気モーターをバランス良く協調させるという、見事な仕事ぶりも披露する。

ハイブリッド・モード時は、非常にシームレスにパワートレインが切り替わる。駆動用モーターで走り始めると、知覚できないほど静かにV6エンジンは停止する。電気自動車のように走れる。

ステアリングホイールの反応は、ドライブモードによって大きく変化。細めのリムへ、正確で明確なフィードバックが伝わってくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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