えっ、愛車が型式指定取り消しに! まさかの事態、どう対応する? ダイハツ問題を通じ解説

公開 : 2024.02.08 18:35

・型式指定取り消し、リコール 急に耳にするようになったことばは、こんな意味
・対象とされたクルマ そのまま乗っても安全? 大丈夫なの? 理由まで解説
・ダイハツの出荷停止は徐々に解除 根拠と今後の展望も

衝撃の不正行為 安全なの? 今日も明日も乗って大丈夫?

2023年の自動車業界における最大級のニュースとなったのが「ダイハツの不正問題」でしょう。4月の内部告発に始まり、5月には人気SUVのダイハツ「ロッキー」およびトヨタ「ライズ」においても不正が発覚。そして12月20日には「第三者委員会による調査報告」が公表されました。

その内容は衝撃そのもの。174もの不正行為があり、生産終了もあわせて該当車種は、計64車種・3エンジンにもなるというのです。現行型として生産されている車種でも27車種と1エンジンにもあります。その公表にあわせてダイハツは国内外で生産中のクルマの出荷停止を実施。自動車業界に大きな影響を与えることとなりました。

ダイハツ・ロッキー
ダイハツ・ロッキー

では、ここで気になるのは「ダイハツ車に乗っている人はどうなるの?」ということでしょう。不正の内容は、多岐にわたり、書類上の基準の中でのごまかしのような軽いものもあれば、衝突実験を不正な方法で行ったというものもあります。

安全性に問題がなければいいのですけれど、そうでなければ重大問題。万一の交通事故のときの安全性能に疑問があるというのでは、オーナーとしては愛車(ダイハツ車)に乗ることにちゅうちょしてしまう人もいるはずです。

とはいえ、実際のところ、今回の場合、それほど心配することはありません。

重大な違反行為に課された処分 型式取消

まず、数多くあった不正のうち、特に安全に関する重大な問題となるのは「エアバッグ展開コンピューターを使わないで試験を行った」ことと「側面衝突試験において乗員救出性に関する安全性能(ドアロック解除)」の2点と言えます。

「エアバッグ展開コンピューターを使わないで試験を行った」ということは、量産車で万一の事故のときに適切なタイミングでエアバッグが展開するかどうかわからないということを意味します。ただし、この問題に対しては、12月20日の調査報告発表の時点で、すでに技術検証が行われており乗員保護性能に問題がないことが判明していました。

トヨタ・タウンエーストラック
トヨタ・タウンエーストラック

とはいえ、不正に試験を潜り抜けたということで、ダイハツ・グランマックス/トヨタ・タウンエース/マツダ・ボンゴの3車は「型式指定の取消」という重い行政処分を受けています。

この型式指定の取消の発表時に合わせて、トヨタは「ダイハツで技術検証を行い、安全性能の基準を満たしている旨、確認しております。したがって、すでに該当するクルマにお乗りのお客様におかれましては、引き続きご使用いただいて問題ありません。また、車検にも直接の影響はございません」と説明しています。

型式取消となったクルマのオーナーは、気にせず乗り続けてOKというわけです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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