EVのある生活 電動化まっしぐらの英国で実践してみた 所有コストの違いは?

公開 : 2024.02.17 18:05

EVは安く買えないの?

バッテリーの大きすぎたルノー・ゾエの代わりとして、筆者は安いEVを探し始めた。候補はいくつかある。特に英国で支持を集めているのは、2012年に発売された旧型(ZE0)の日産リーフだ。BMW i3も検討してみたが、価格はかなり高い。

リーフは見た目の好みが別れてしまうかもしれないし、空冷式24kWhバッテリーの航続距離もそこそこなので、長距離の移動には向かないだろう。しかし、よくできていて、室内が広く、通勤やちょっとした移動には最適だ。

初代日産リーフ
初代日産リーフ    AUTOCAR

また、インストゥルメント・ディスプレイには12本のバーでバッテリーの健康状態が表示される。リーフ愛好家が推奨する「リーフスパイ」という診断用アプリもあり、スマートフォンで詳細なバッテリー情報を得ることができる。

12本のバーが表示されていれば、バッテリー容量が本来の85%以上残っていることがわかる。

調べた結果、理想的な状態は、12本のバー、低走行距離(5~6万km)、高速道路を走った形跡が少ない、急速充電の回数が少ない、できるだけ高年式であると判断した。

より大きな30kWhバッテリーが2015年から導入されたが、英国では希少で、24kWh車よりもバーが少なかった。おそらく、人々は長距離走行を見据えて購入し、急速充電を多用したのだろう。

これはあくまで仮説に過ぎないが、筆者は航続距離については必要な範囲で頑張ることにして、可能な限りバッテリーの状態が良い24kWh車に決めた。

中古EVは「バッテリー」が重要

英国仕様の初代リーフには、大きく分けて3つのグレード(Visia、Acenta、Tekna)がある。

エントリーグレードの装備は寂しいが、小径ホイールのタイヤ代は安く抑えられる。上位グレードには、筆者が欲しかったシートヒーターなどが装備されており、大径ホイールの維持費は高いが、見た目は良い。

初代日産リーフ
初代日産リーフ    AUTOCAR

中古車をいろいろ見て回るのも大変なので(余計に高くつくこともある)、地元の日産ディーラーで候補車を見つけられたのはありがたかった。7995ポンド(約150万円)と理想よりもかなり高価だが、4万8000km以下、12本のバー、1年のディーラー保証が付いている2015式の最上位グレードだ。

満充電時、ディスプレイ上の航続距離は137kmと示された。バッテリーの使用可能容量は22kWhなので、電費を6km/kWh弱と仮定すると、まあ妥当なところだろう。

おそらく街乗りが中心で、数年前からディーラーで点検を受けていたと思われる。内装は傷ひとつなく完璧で、急速充電器なんて見たこともないのでは?

このリーフは、スコットランドの会社が提供するEV向け無利子ローンを利用して購入した。

リーフは長持ちするという評判があるし、英国の道路税は無料(今のところ)で、「燃料代」は1マイルあたり2ペンス(1.6kmあたり3.8円)以下、メンテナンスの手間もほとんどかからない。ということで、筆者は中古EVの所有にはリスク以上の価値があると考えた。

キアeニロも気に入っているので、PCPをさらに1年延長して、3年間の保証期間が残っているうちに買い取るかもしれない。

その頃には、もっと手頃な価格のEVが登場しているかもしれないし、中古EVもたくさん出回っているだろう。

中古EVを購入する際の5つの「鉄則」

1. 使うことのないバッテリー容量を買うのはお金の無駄。

2. バッテリーの健康状態には年式が関係するため、予算が許す限り最新の年式を選ぶこと。

キアeニロと日産リーフ
キアeニロと日産リーフ    AUTOCAR

3. 満充電(100%)における航続距離のディスプレイ表示を確認する。予想より航続距離が短いのは、運転の仕方に原因があるかもしれない。

4. ディーラーに質問したり、点検履歴を確認したりして、車両がどのように使われてきたかを知る。

5. 近場を走るだけでよく、自宅で充電できるのであれば、低価格でEVを手に入れることができる。

記事に関わった人々

  • ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    英国編集部テクニカル・ディレクター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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