真紅のアストン「本物志向」新型ヴァンテージが公開 出力30%アップ、さらなる高みへ
公開 : 2024.02.14 11:35 更新 : 2024.02.14 11:35
ヴァンテージ刷新 なぜ、このタイミングに?
大パワー・大トルクに適応するためタイヤは21インチ化。
さらに、インテリアはコネクテッド技術とクラフトマン美学によるラグジュアリー性をさらに高めた。
ジャパンプレミアに参加した、現役日本人レーサーたちは「エンジンの大幅強化でも、ヴァンテージの持ち味である前後50:50のバランスの良さから、乗りやすくかつ攻めやすい出来栄えが期待できる」と、ポテンシャルの高さを評価した。彼らはこれまで、英国でレーサーとしての腕を磨き、また日本国内外ヴァンテージでのレース参戦経験がある。
では、なぜアストン マーティンはこのタイミングでヴァンテージ刷新を行ったのか? ここからは筆者の私見を交えて考察する。
ひとつの理由は、ブランドイメージを、F1を筆頭としたモータースポーツに大きく振るためだ。
2021年、アストン マーティンはF1コンストラクターとして61年ぶりに復活を遂げた。
そのアストン マーティンF1が、今回の新型ヴァンテージ、さらには新型ヴァンテージGT3と直接的なつながりがあることを、新型ヴァンテージのプロモーション動画で強調している。
新型ヴァンテージを操るのは、もちろんフェルナンド・アロンソである。
理由のもう1つは欧州規制の変更か
もうひとつ、ヴァンテージ刷新の理由は、欧州連合による欧州グリーン欧州ディール政策による電動化規制の変更が考えられる。
政策パッケージ「フィット・フォー・55」では当初、「2035年に欧州域内で販売する乗用車と小型商用車の新車100%をZEV(EVまたは燃料電池車)」に限定するとしていたが、ドイツの反対により「合成燃料を使用した内燃機関も含む」と変更された。
これが、欧州域外である英国、さらにヴァンテージの需要が多いアメリカなどの電動化規制にも大きな影響を及ぼしたといえる。
こうした規制の変更は、新型ヴァンテージの開発と時期的にダブっているが、合成燃料の使用が認められたことで、新型ヴァンテージをハイパワーなエンジン車という商品性を強く打ち出すための、アストン マーティンとして最終決断に至ったものと推測される。
さらに言えば、富裕層向けのハイエンドブランド分野では近年、ハイパーカーからSUVまでのフルラインアップ化が加速しており、そうした中でアストン マーティンとしてはF1やGTカーなどトップクラスモータースポーツにおける「本物志向」を貫く姿勢を、新型ヴァンテージを通じて示した。
新型ヴァンテージは、ヴァンテージの歴史に裏打ちされた、本物の次世代スポーツカーである。