メルセデス・ベンツEクラス 詳細データテスト ディーゼルセダン健在の証明 快適性は改善の余地あり

公開 : 2024.02.17 20:25

EV用とICE用、ふたつのプラットフォームでラインナップを構成しているメルセデスの中大型モデルですが、EクラスもEQEとは独立したモデルとして開発されました。そこに込められた狙いがはっきり読み取れるクルマです。

はじめに

昨年は、新興メーカーの新型車も数多くテストしたが、その対極にあるのが今回のテスト物件だと言える。

無論、クラシックカーを連れてこようと言うのではない。しかしEクラスといえば、世界最古を謳う自動車メーカーのラインナップでもとりわけ長い歴史を持つもののひとつだ。

テスト車:メルセデス・ベンツE220d AMGライン・プレミアムプラス
テスト車:メルセデス・ベンツE220d AMGライン・プレミアムプラス    JACK HARRISON

新型となるW214型を、メルセデス・ベンツ流にカウントすると1947年からほぼ途切れることなく続く系譜の10代目ということになるらしい。

と、ヘリテージへの言及に今回は随分気を遣っているが、それがなぜかと思わされるくらい、普段のメルセデスは特別なノスタルジックさを持たない会社だ。初代Aクラススマートシティクーペの前衛的なデザインを見れば、それはよくわかる。最近では、容赦無く空力を追求したEV群に、その性格が顕著だ。

BMWが5シリーズのバリエーションとしてi5を設定したのとは対照的に、メルセデスはEセグメントEVのEQEとは別にICE車のEクラスを用意した。彼らがいうには、新型Eクラスには伝統と現代性のバランスが必要だったのだとか。トラディッショナルな上級セダンと、将来を支える先進技術を用いたEVとの架け橋になる存在だというわけだ。

まだまだ走るスマートフォンみたいなクルマを愛車として迎え入れられないというユーザーは多い。となれば、新型Eクラスに課されたミッションはひとびとの心を捉えるものとなるに違いない。その成否を占うべく、われわれは今回、敢えて俎上にEVの対極とも言えるベーシックなディーゼルモデルを載せることとした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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