メルセデス・ベンツEクラス 詳細データテスト ディーゼルセダン健在の証明 快適性は改善の余地あり

公開 : 2024.02.17 20:25

内装 ★★★★★★★★☆☆

メルセデスのいう架け橋が、昔ながらのインテリアを含むものだと期待していたら、そこは裏切られる。テスト車はスーパースクリーン仕様で、全面にディスプレイが埋め込まれていた。それでも、MBUXの使い勝手は、インフォテインメントシステムとしてはベストクラスだ。

ほとんどのインターフェイスは、現行メルセデスに共通するものなので、操作は大きなディスプレイと、列をなした走行モードや車両セッティングを担う実体ショートカットボタンで行う。

テスト車はスーパースクリーン仕様で、センターに14.4インチ、助手席前に12.3インチのディスプレイを設置する。
テスト車はスーパースクリーン仕様で、センターに14.4インチ、助手席前に12.3インチのディスプレイを設置する。    JACK HARRISON

あまり使わない機能の呼び出しは、進化した音声認識を使うといいだろう。無駄なアンビエントライトの調整にメニューを探すくらいなら「ヘイ、メルセデス。ムードライトを黄色にして」と照れを捨てて口にしたほうが手間が省ける。

使い勝手が後退したのは空調関係だ。ほかのメルセデスは、温度と風量の調整が画面上に常時表示されているのだが、このクルマはメニューを開く必要がある。それによって画面の表示面積を節約できるというわけでもなさそうだし、第一使いづらくなった。

最近のメルセデスで批判してきた質感については、完全に元戻りはしていないが、低下傾向に歯止めはかかったようだ。ほぼどこもソリッドな作りで、マテリアルもいい感じのものを使っている。

ICE搭載のセダンとしては、実用性もなかなかのものだ。シフトセレクターをステアリングコラムに設置するので、高さのあるセンターコンソールは収納スペースに充てられる。カーペット敷きのドアポケットもかなり大きい。

EVを見慣れると、物足りなく感じるようになるのが後席レッグルームだ。そうはいっても、新型5シリーズにはわずかながら勝り、ヘッドルームは背の高い大人でも十分余裕がある。そうそう、ICEモデルであるE200dのトランク容量は、BMW520iを20L上回っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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