充電中の「当て逃げ」で車両交換に レクサスRZ 長期テスト(5) 選ぶなら「1番イイやつ」
公開 : 2024.02.24 09:45
レクサス初のバッテリーEV専用モデルとなるRZ 高価格帯のSUVとして充分な能力を備えるのか 英国編集部が長期テストで確認
もくじ
ー積算9646km 風洞実験で生まれる似たカタチ
ー積算1万185km 充電ステーションで当て逃げ
ー印象の違いが小さくないインテリア
ー積算1万657km 英国最大級の充電ステーション
ー積算1万1593km あまり役に立たない解氷機能
ーテストデータ
積算9646km 風洞実験で生まれる似たカタチ
まったく異なるメーカーのモデルだが、レクサスRZは日産アリアと大きさや見た目が似ている。バッテリーEVは、空力特性も従来以上に重視される。多くの人が指摘するように、風洞実験で生まれるスタイリングは近似することを、物語っているようだ。
積算1万185km 充電ステーションで当て逃げ
この写真のレクサスRZが、これまでの長期テスト車とは違うことにお気付きだろうか。そう、筆者が先日まで乗っていたのは、ソニック・シルバーのボディだった。しかしこれは、ソニック・グレーだ。
なぜクルマが変わったのかというと、充電ステーションでの充電中に、当て逃げされてしまったから。筆者はその場に不在で、連絡先のメモはなし。被害は比較的大きく、フロントバンパーとヘッドライトだけでなく、ボンネットにも歪みが出ていた。
この事実を伝えると、レクサスの広報チームは、ありがたいことに別の車両を貸し出してくれた。喜ばしくない結果ではあるものの、幸いにもこれまでのRZとグレードが異なる。よりお手頃なRZの印象を、確かめられる機会ではある。
ソニック・シルバーのRZはトップグレードのタクミで、英国価格は7万4000ポンド(約1376万円)に設定されていた。対して、ソニック・グレーのRZは中間グレードのプレミアムプラス。英国価格は6万5000ポンド(約1209万円)と、比較的大きな差がある。
印象の違いが小さくないインテリア
プレミアムプラスでは、やや硬めの乗り心地ながら、優秀なパフォーマンス・ダンパーが装備されなくなる。そのかわり、750kgの牽引能力を得られる。
見た目では、ホイールアーチ・モールがボディカラーと同色には塗装されなくなる。しかし、カッコいい20インチのアルミホイールは同じ。この程度なら大きな変化とはいえないかもしれないが、インテリアの差は予想以上だった。
まず、調光できるパノラミック・グラスルーフと、高音質なマークレビンソン社製のサウンドシステムが省かれる。シートの表面は、ウルトラスエードからタハラと呼ばれる合成皮革へ置き換えられる。
いざ乗ってみると、これらが生む印象の違いは小さくない。特に合成皮革は、気温の低い冬場がゆえに、冷たさが際立ってしまう。パワーシートにはヒーターが装備されているから、すぐに快適になるとはいえ。膝まわりも温めてくれる、エアコンがうれしい。
もし自らRZを選ぶなら、少し予算を増やしてタクミ・グレードを選びたいと考えるだろう。ブランドが重視する移動体験も、グレードによって変わるといえる。レクサスのディーラーを訪れたら、「1番イイやつ」を指定するべきなようだ。