アルピナD3 S ツーリング ベスト・モードはコンフォートプラス 長期テスト(5) 気になる点も幾つか
公開 : 2024.02.25 09:45
直列6気筒ディーゼルを搭載した高速ワゴンのD3 S 独立時代最後となる現行型 誉れ高いアルピナの実力を長期テストで検証
積算1万3212km もう少し欲しいステアリングの感触
AUTOCARの英国編集部が、G20型BMW 3シリーズを絶賛していることは、定期的な読者ならご存知かと思う。その究極といえる、ドイツ・ブーフロー仕様のカギを借りれるチャンスが巡ってきたことへ、筆者が小躍りしたことは間違いない。
移動オフィスとしてだけでなく、大量の買い物や、週末の小旅行を楽しむのにも活躍してくれた。というわけで、今回の担当はわたし、ジョナサン・ブライスだ。
アルピナD3 S ツーリングで最初に向かったのは、グレートブリテン島の西部、コッツウォルズ地方。ここは高速道路から枝を伸ばすように、広大な田舎道が広がっている。クルマの走りを味わうのに、ピッタリのエリアだといわれるゆえんが、良くわかる。
D3 S ツーリングは、高速道路を路面へ吸い付くように走った。郊外の一般道を、静かに滑らかに、サイクリストの邪魔をすることなく駆け抜けた。
その途中、エンストンの西側へ伸びる道は、英国ではドライブのベストルートに数えられる。変化に飛んだカーブを、見通しの良いストレートが結んでいる。とても爽快だったことは、いうまでもない。
褒めちぎるだけでは面白くないので、D3 S ツーリングで気になった点を少々。まず、ステアリングホイールには、充分な感触が伝わってこないように思えた。カーブでは、どの程度切り込んでいけるのか、常に推測する必要があった。
とはいえ、不安を感じるほどではない。旋回速度も、間違いなく高かった。
筆者のベスト・モードはコンフォートプラス
直列6気筒エンジンの印象は、唸る価格ほどの違いはないかもしれない。ミュンヘンで仕上げられる、335dに載る標準のユニットも充分に素晴らしい。とはいえ、極めて効率に優れ、大きなターボチャージャーが生む豊かな力を謳歌できることも事実ではある。
もう1つ指摘したいのが、インフォテインメント・システム。ブルートゥースを介したスマートフォンとの連携が、何度試してもうまくできなかった。もともと、BMW由来のiドライブ・システムは直感的に操作できるだけに、少々惜しい。
だが、これらが優れたD3 S ツーリングの味わいを大きく損なうわけではない。まったく気にしないという人も、いると思う。
翌日の週末は、ちょっとロマンチックな気分でロンドンの西のウィンザーへ。ここにはご存知の通り、壮観なウインザー城と美しい景観が残っている。
D3 S ツーリングのドライブモードをコンフォートプラスにし、贅沢なインテリアへ浸る。その快適性は、素晴らしい毎日の相棒になることを実感させた。
筆者にとっては、これがD3 S ツーリングのベスト・モード。一緒に時間を過ごしてくれたガールフレンドも、クルマにはかなり詳しいが、どうやら気に入ってくれた様子。BGMを奏でたステレオの音質も、見事といえた。