625馬力!V8はマイルドHVに BMW X6 M コンペティションへ試乗 公道では力を発揮しきれない

公開 : 2024.02.27 19:05

2023年にフェイスリフトを受けた X6 M コンペティション 4.4L V8ガソリンはマイルドHVに 能力を引き出すには寛大な環境が必要 英国編集部が一般道で評価

マイルドHVになったM コンペティション

BMWは、2023年にクーペSUVのX6へフェイスリフトを施した。その変化は、高性能なX6 M コンペティションにも及んでいる。むしろ、想像以上に多くのアップデートが加えられたといって良い。ちなみに、コンペティションではないX6 Mは廃盤になった。

スリムになったヘッドライトや新形状のテールライトを獲得し、実際に押せるハードボタンが大幅に減り、大きなモニターパネルが装備されたことなどは、通常のX6と共通する。だが「M」ならではといえる、メカニズムの更新にも力が注がれている。

BMW X6 Mコンペティション(英国仕様)
BMW X6 Mコンペティション(英国仕様)

ボンネット内に収まるのは、ツインターボで過給される4.4L V8ガソリンで、表面的には同じ。BMW X7やXMにも採用されているものだ。しかし、電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが与えられ、BMWはまったくの新世代ユニットだと主張する。

それでも最高出力は625ps、最大トルクは76.3kg-mで、フェイスリフト前と変わりない。ZF社製の8速オートマティックには、スターター・ジェネレーター(ISG)が内蔵され、1速から3速までのギア比が落とされた。

その結果、0-100km/h加速を僅かに縮めた、と書きたいところだが、実際は0.1秒遅くなり3.9秒だ。とはいえ、このクラスのSUVとしては極めて鋭いダッシュを披露することは事実。早いタイミングで変速されるようになり、実際は数字以上に速く感じられる。

やや合成的なエンジンサウンド

シャシーまわりでは、アクティブ・アンチロールバーを装備できるようになったことが主なトピック。従来より高速化されたスタビリティ・コントロールと、改良されたアダプティブダンパーも組まれる。

サスペンションは、コイルスプリング。アップデート後のX6で、エアスプリングが組まれないのは、M コンペティションだけだ。

BMW X6 Mコンペティション(英国仕様)
BMW X6 Mコンペティション(英国仕様)

勇ましいエンジン音は、必要に応じて静かにできる。試乗車をお借りしていた時は、ご近所へ気を配り、クワイエット・モードを毎回指定していた。少なくとも車内で聞く限り、その効果は大きいようだ。

スポーツ・モードを選び、エグゾーストシステムのバルブを開けば、あからさまなV8サウンドを楽しめる。クラス最高の音響体験、というわけではないけれど。

ベントレーベンテイガのような重層的な唸りや、フラットプレーン・クランクらしい咆哮は楽しめない。排気ガス規制に対応させるためなのか、意図的なチューニングによるものなのかは不明だが、X6 M60iより合成的な、その中間的な響きに聞こえた。

またコンクリート舗装の高速道路では、車内に充満するロードノイズも小さくなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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