猫の手も借りたい? 需要に応えきれない! ランボルギーニ・ジャパンのヘッドが語る近況と戦略
公開 : 2024.02.27 21:05 更新 : 2024.02.28 19:47
需要の伸びが生産を上回り続けるランボルギーニ。数年分の受注が既に入っているが、幸か不幸か多くの台数を作れないと語る同社ジャパンのダビデ・スフレコラ(ヘッド・オブ・ジャパン)に「電動化を核にした近未来戦略」の今後を聞きました。
ランボルギーニ 電動化を核にした近未来戦略
今年になってランボルギーニ本社は電動化を核にした近未来戦略「コルタウリを目指せ」の一環として、非常に野心的な目標を宣言している。
宣言の中核は「2030年までに企業としての炭酸ガス排出量を台あたり40%削減する(2021年比)」というものだ。つまり、プロダクトのCO2排出量のみに目を向けるのではなく、製造からサプライチェーン、販売の現場に至るまで全ての領域において削減を加速させ、そのための人材育成も惜しまないというアピールである。
プロダクト面では既存の3モデルレンジをプラグインハイブリッド化(HPEV=ハイパフォーマンス電動モデルとランボルギーニは呼ぶ)すると21年にすでに発表されている。それに基づき、アヴェンタドール後継となったV12+PHEVのレヴエルトはすでに生産も立ち上がり、日本市場へも3月末から4月にかけて上陸する予定だ。
続いてウルスPHEVの発表ももうすぐ。さらに今年下半期にはウラカン後継のPHEVスーパーカーのデビューが予定されている。28年にはフル電動のランザドール、さらに29年にはフル電動SUV(ウルス後継)も発表される。プロダクト単体でのCO2削減量は25年までに50%、30年までに80%(いずれも21年比)となる予定だ。
もっともランボルギーニ車の生産活動に伴って排出される炭酸ガスの総量は世界の0.001%に過ぎない。ランボルギーニとしてはその抜群の知名度を生かしてCO2削減の必要性をアピールするという社会的な責任を果たしたいという考えだ。
すでに製造面では以前より熱心に削減に取り組んできた。その枠組みをサプライチェーンや販売ネットワークにも広げるためには、会社として地力ある組織を作らなければならない。社員のウェルビーイングを重要視して、最も従業員に優しい企業となるなど、組織の強化にも力を入れている。
昨年はランボルギーニ社の60周年
この宣言を受けて、日本のマーケットではどんな取り組みを始めていくのだろうか。奇しくも昨年はランボルギーニ社の60周年だった。つまり今年は還暦後の1年目。再スタートの年でもある。
日本代表のダビデ・スフレコラ(ヘッド・オブ・ジャパン)は筆者のインタビューに答えて「何よりもドリームカーであるというランボルギーニ最大の魅力を維持していくことが重要だと考えています」と切り出した。
「日本市場に限らず、ランボルギーニは夢のクルマであり続けなければなりません。ディーラーに行って、新型車をオーダーして、アドペルソナムのコンフィギュレーションを楽しんで夢のクルマを作ってもらう。デリバリーを待ってもらう間にもランボルギーニファミリィの一員として、ディーラーやジャパンが主催するさまざまなイベントを楽しんで欲しい。
ワークショップの充実もその一つです。日本を走るランボルギーニが大幅に増えて、サービスがますます大事になってきました。夢のクルマを良い状態にキープするために、広くて素晴らしい設備を持つサービスファクトリーはもちろん、テクニシャンのトレーニングも高いレベルで必要になっています。もちろん、それは終わりのない仕事でもあります。これまでの実績にはとても満足していますが、だからといって決して終わりではありません。今年はアフターセールスにもっと力を入れていく年になると思います」
スフレコラの言葉通り、ランボルギーニ・ジャパンではこの上半期に二つの正規ディーラーにおけるアフターセールスキャンペーンを実施中だ。一つは「ウェルカムバック・トゥー・ランボルギーニ」キャンペーンで、正規ディーラー車を購入したけれども22年10月1日以降ディーラーへ車両を持ち込んでいないユーザーを対象とした特別なプログラム。
もう一つは、こちらがとても興味深いのだけれども「ランボルギーニ・オリジナリ」キャンペーンで、工場出荷時のオリジナルコンディションに戻したいユーザー向けのスペシャルオファーだ。いずれも今年6月末までのキャンペーンである。
「日本にはたくさんのランボルギーニがあります。古いモデルに乗っているユーザーの皆さんにも最新ランボルギーニの世界観を知ってもらい、さらにランボルギーニ本来の性能を安心して楽しんでいただけるようなコンディションにしていただきたい。
キャンペーンを機会にオリジナル状態に戻していただき、本来の性能を知って安全に全てのランボルギーニを楽しんで欲しいのです。もちろんどこまでをどう望むかはユーザー次第。できるだけサポートしていきたいと思っています」