レンジローバーのV8を「3モーター」に交換! 感動モノの速さと洗練性 JIAチーフテン EVへ試乗

公開 : 2024.03.03 19:05

中間加速は大手ブランドの高性能SUV並み

ドアを開き高めのキャビンへ腰を下ろすと、インテリアは豪華。見慣れたクラシックレンジの雰囲気を残すが、確かに新しい。

背筋を伸ばした、高めのドライビングポジションに変わりはない。システムをオンにするには、これまで通りキーホールへキーを挿し、ひねる必要がある。

JIAチーフテン・レンジローバー EV(英国仕様)
JIAチーフテン・レンジローバー EV(英国仕様)

しかし、ダッシュボードにはインフォテインメント用タッチモニターが埋め込まれ、トランスミッション・トンネルにはロータリーダイヤル式のシフトセレクターが載る。メーターパネルには、航続距離や充電量を確認できるモニターが追加されている。

410psというパワフルさにも関わらず、アクセルペダルの操作に対し、反応はとてもマイルド。0-100km/h加速8.2秒という勢いを体感できるのは、スピードが上昇してから。50km/hから110km/hまでの加速力は、大手ブランドの高性能SUV並みに鋭い。

この動力性能を、AP社のブレーキがしっかり受け止める。制動力は高く、ペダルの感触もソリッドで頼もしい。

速さだけでなく、パワートレインの上質な仕事ぶりも素晴らしい。駆動系からのノイズや振動はほぼなく、クラシックレンジに乗ったことがある人なら、感動するだろう。

ドライブモードも備わり、名前の通りアーバン・モードが都市部にピッタリ。回生ブレーキの効きがちょうど良く、電費を高めつつ、市街地を安楽に移動できる。

即時的パワーを満喫できるクラシックレンジ

低速域では、駆動用モーターが発する唸りが僅かに聞こえるが、高速道路の速度域なら、風切り音などにかき消されてしまう。走行時の洗練性は、間違いなく高い。JIA社の限られた予算規模を考えれば、称賛に値する。

ステアリングラックのレシオはショートになり、機敏にフロントノーズが反応する。エアサスペンションは硬めに設定され、ボディロールを抑制。オリジナルでは少々気まぐれな姿勢制御も、改められている。

JIAチーフテン・レンジローバー EV(英国仕様)
JIAチーフテン・レンジローバー EV(英国仕様)

それでもカーブへ侵入すると、シャシーの基本設計の古さが垣間見れる。低速域の乗り心地は僅かに跳ね気味で、ステアリングは少し曖昧で、コーナリング限界は決して高くない。この点では、33年前のレンジローバーと大きな違いはない。

お値段は、35万ポンド(約6510万円)から。お手頃だとはとてもいえないが、おおらかな気持ちで、新たに獲得した扱いやすさと洗練性を楽しむのがふさわしい。バッテリーEVらしい即時的なパワーを満喫できる、最高のクラシックレンジだと思う。

JIAチーフテン・レンジローバー EV(英国仕様)のスペック

英国価格:35万ポンド(約6510万円)
全長:4470mm(オリジナル・レンジローバー)
全幅:1781mm(オリジナル・レンジローバー)
全高:1781mm(オリジナル・レンジローバー)
最高速度:201km/h
0-100km/h加速:8.2秒
航続距離:354-402km以上
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2500kg(予想)
パワートレイン:トリプル・アキシャルフラックス・モーター
駆動用バッテリー:120kWh(実容量)
急速充電能力:90kW(DC)
最高出力:410ps
最大トルク:113.0kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事