まるで小さな「トゥアレグ」? 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 日常へ溶け込む

公開 : 2024.03.05 19:05

3世代目へモデルチェンジしたフォルクスワーゲン・ティグアン 優秀なプラグインHV プレミアムSUVと呼べそうな上質な乗り心地 英国編集部が評価

しっかり刷新された小さな「トゥアレグ

実はフォルクスワーゲンのベストセラーは、ハッチバックのゴルフではなく、SUVのティグアン。モデルチェンジされた3世代目も、成功を掴むであろう仕上がりにある。技術面や洗練性のアップデートを受け、2代目同様の優等生だ。

このクラスのSUVは、競争が極めて激しい。同社には、壊れていないなら直すな、という風土があるようだが、ティグアンはしっかり刷新されている。先代から継承したものといえば、大枠のサイズとシルエット程度といっていい。

フォルクスワーゲン・ティグアン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン(欧州仕様)

上級感を増した3代目を端的に表現するなら、「小さなトゥアレグ」だろう。フロントマスクには、最新の「IQ」LEDヘッドライトを獲得。アルミホイールやボディカラーの選択肢は幅広い。

トリムグレードは5段階。ベースグレードに、ライフ、マッチ、エレガンス、Rラインから選べる。

まず、一新されたインテリアから見ていこう。ここでの最大のトピックは、12.9インチか15.0インチという、大きなインフォテインメント用タッチモニター。ただし後者は大きすぎ、前方視界にかかってしまうが。

エアコン用のメニューは、モニター下部へ常時表示。温度調整用スライダーには、イルミネーションが内蔵された。暗闇の中、手探りで操作する必要はなくなった。

ステアリングホイールには、うれしいことに、実際に押せるハードスイッチが復活。従来のタッチセンサーは、もどかしいほど反応が鈍かった。センターコンソールにはロータリー・コントローラーがあり、ドライブモードやラジオの音量などを調整できる。

優秀な仕上がりのプラグイン・ハイブリッド

もう1つの注目機能が、インフォテインメント・システムに実装される、チャットGPTを利用した「アイーダ」。アップル・カープレイとアンドロイド・オートから、次のフェイズへ進化したといえる。

音声認識機能で、質問するとアイーダが答えてくれる。試しに、世界最古の自動車雑誌は何か聞いてみたら、AUTOCARだと返ってきた。望ましい回答だ。

フォルクスワーゲン・ティグアン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン(欧州仕様)

ちょっと意地悪だが、フォルクスワーゲンとメルセデス・ベンツ、どちらが優れた自動車メーカーかも尋ねてみた。2社とも定評あるメーカーだと答えた。なるほど。

続いてパワートレイン。新しいティグアンには、合計8種類が用意される。ガソリンターボのマイルド・ハイブリッドが2種類に、プラグイン・ハイブリッドが2種類、ガソリンターボが2種類、ディーゼルターボが2種類だ。

ディーゼルターボは、トルクが太く安楽。高速道路では、静かで高効率に走れる。高回転域ではノイズが少し目立つが、印象は悪くない。

ロータリー交差点などの低速域では、燃費を優先して、7速デュアルクラッチATの変速が稀にもたつく。シフトパドルを引けば、ギアを任意に選べる。

プラグイン・ハイブリッドは、ディーゼルに代わる頼もしい選択肢。203psか271psの最高出力が設定され、電気だけで走れる距離は、共通して最長99kmと長い。

今回は271psの方へ試乗したが、ガソリンエンジンと電気モーターの協働はほぼ完璧。ドライブモードも賢く、エコ・モードでは可能な限り電気で走り、スポーツ・モードではエンジンの出番が増す。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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