ボルボV40 D4 SE Nav
公開 : 2012.07.14 16:05 更新 : 2017.05.29 19:09
■どんなクルマ?
このボルボV40は、この20年の中でボルボにとって最も重要なモデルと言って過言ではない。このモデルの命運がボルボの今後を担っているといってもよい。
オーナーが代わり、その新しいオーナーの下、まだ完全とは言えない動きの中で、このV50、S40に代わる上品なスカンジナビアンは、その売上を上げるということよりも、まずはライバルに対して客観的に見てどれだけ対抗しうるモデルであるのかということのほうが、まずは重要な課題となろう。
少なくとも紙の上ではボルボV40は良くできたクルマだ。94g/kmという最もロー・エミッションなD2のバリエーションとして、もう少し活発な4気筒または5気筒のディーゼル・エンジンが用意される。われわれがテストしたのは、最も強力な2.0リッター5気筒ターボ・ディーゼルで、175bhpのパワーを持ち、標準で6速マニュアル・ギアボックスが組み合わせられた1台だ。
■どんな感じ?
そのシャシーは基本的にフォード・フォーカスのものなのだが、その滑らかで際立ったルックスと、豪華で贅沢なインテリアからは、その影は感じられない。
シートは、柔らかく快適で、まるで繭にくるまれているような印象を受けた。デジタル表示のインストルメント・パネルはやや複雑で、パフォーマンス、エレガンス、そしてエコというモードをによって、インパネの表示が美しく変化するというものだ。
ステアリングも基本的に3つのモードを備えているが、実際にはその可変ステアリングに大きな差があるわけでなはい。確かに、ステアリングは際立った要素ではない。少しデッドでゴムのような抵抗感がある。しかし、レスポンスは良く、重さも適切だ。何よりもニュートラルでグリップの状態を正しく伝えてくれた。
コーナーで思った場所にそのノーズを向けることは非常に簡単だ。V40は、アンダーステアとトルクステアを印象的なほど良く抑えこんでいる。そのスムースで反応の良いステアリングは、英国の2級国道であってもかわることがなかった。
しかし、とりわけD4には幾つかの問題がある。われわれのテスト車両は標準的な17インチを履いていたが、英国の典型的なターマック脳で、そわそわとした感じを受けたのだ。時折激しいダイブに見舞われ、高速になると激しいシミーが起きる。
また、そのエンジンは、積極的にワイディングを攻めようとするのであれば、若干いらいらさせるものがある。しかし、クルージングには最適なパワー・ユニットである。
とはいうものの、そのエンジンは、しなやかさと優雅さにおいて、このクラス・トップというわけにはいかなかった。44.9kg-mというトルクは僅かに1750rpmと2750rpmの間でしか発生することができないので、すぐに頭打ちになってしまう。更にターボチャージャーのライムラグが低回転域に存在するのだ。
よりローパワーのD3の方が、パワーの出方が滑らからで好ましいモデルといえる。D4はパワフルではあるが、アウディA3やBMW 1シリーズの同クラスのライバルに対抗できるかというと、残念ながらそうではなかった。
更に、ユーザー・インターフェイスが直感的なものでなく、トランクは仕切り線が高く、形状もいまひとつなのも気になったところだ。
■「買い」か?
このニュー・モデルは中国の所有の下に生まれた最初のモデルであり、非常に重要なモデルでもある。確かに決定的に足りないところもあるが、確立されたライバル達に近いダイナミクス、効率、そして価格を持っている。更に、ボルボは長年にわたり、その軽やかでユニークなキャラクターを貫いてきた。それは今でも非常に強い資産のひとつである。
残念なことにボルボV40が、このクラスで最高のクルマであるとは言えない。しかし、このニュー・モデルは、ある部分を妥協してもユーザーに訴えるだけのものがあるクルマには仕上がっている。
(ヴィッキー・パロット)
ボルボV40 D4 SE Nav
価格 | 24,795ポンド(306万円) |
最高速度 | 220km/h |
0-100km/h加速 | 8.2秒 |
燃費 | 23.2km/l |
Co2排出量 | 114g/km |
乾燥重量 | 1484kg |
エンジン | 5気筒1984ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 175bhp/3500rpm |
最大トルク | 44.9kg-m/1750rpm-2750rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |