2024年版 今こそ乗りたい「最強&最高」のスポーツカー 10選 公道で味わう「大人」テイスト

公開 : 2024.03.09 18:05

6. アルピーヌA110 R

長所:手頃な価格、サーキット走行が可能な動力性能
短所:もっと特別なエンジンが欲しかった

アルピーヌA110 Rは、標準車よりもワンクラス上のスポーツカーと見るべきだ。パワーという点では標準車と大差ないが、ドライビングのスリルとハードなサーキット走行に耐えうるポテンシャルを持っており、ただひたすらハンドルを握りたいという人にとっては望ましい選択肢だ。

6. アルピーヌA110 R
6. アルピーヌA110 R

カーボンファイバー製ボディと、人を抱きしめるような形状の一体型シートにより、ただでさえ軽いA110がさらに34kgも軽量化されている。サスペンションには20ウェイ調整式ダンパーとヘルパースプリングを使用し、デフォルトではA110 Sよりも10mm低く、10%硬く設定される。また、グリップの高いミシュラン・パイロット・カップ・スポーツ2タイヤが走りを引き締めてくれる。

やはり乗り心地は硬めに感じられるが、快適性は維持されている。一方で、排気音は若干大きくなった。シャープなステアリングとハイグリップにより、標準車なら浮足立ってしまう限界域でも「鬼」のようなボディコントロールが可能だ。

では、A110 Rはなぜランキングで上位に食い込めないのか? 1.8L 4気筒ターボエンジンには、この優れたシャシーを使いこなすだけのパワーが欠けているためだ。しかし、余計なものがない「引き算の美学」の好例とも言える。素晴らしいマシンであり、将来的にコレクターズアイテムとなることは間違いないだろう。

7. シボレーコルベット

長所:今や貴重なV8エンジン、ミドエンジンのハンドリング、広い積載スペース。
短所:やや模倣的なスタイリング、インテリアの人間工学

アメリカン・スポーツカーを象徴するコルベットの最新世代において、エンジンをフロントマウントからミドマウントに変更するという「ギャンブル」に出たことは、多くの議論を巻き起こした。

7. シボレー・コルベット
7. シボレー・コルベット

もちろんこれには、重量配分を改善してハンドリングのポテンシャルを高めるという客観的な理由もある。今やスポーツカー市場ではミドシップレイアウトが大きな注目を集めるようになっている。賛否両論あるにせよ、ミドシップにする価値はあったと言える。

C8コルベットは、そのスーパーカー的なルックスとは裏腹に、クーペが8万1700ポンド(約1560万円)、コンバーチブルが8万7110ポンド(約1660万円)というポルシェ911カレラ並みの価格設定に目を奪われる。もちろん、美点はコストパフォーマンスのみにとどまらない。

スモールブロックV8エンジンはスロットルレスポンスに優れ、中間レンジのパワーデリバリーが素晴らしく、6500rpmを超える回転も好ましいうえに極上のサウンドを奏でる。性能面は「スーパーカー級」とは言えないが、この価格で0-100km/h加速約3.0秒という数字に文句をつける人はいないだろう。

ハンドリングの安定性と正確性も高く、フロントエンジンの先代モデルよりも素直でクイックな走りを見せる。ステアリングのフィールはやや乏しく、限界域ではアンダーステア傾向にあるため、サーキット走行では魅力が半減するかもしれない。それでも、ポルシェ911のような完成度の高いクルマと比べても独自の魅力を保持できるスポーツカーは貴重である。

キャビンの人間工学には癖があり、質感においてもライバルに及ばない点がある。しかし、コルベットのようなクルマが存在すること、しかも右ハンドルがあることに感謝せずにはいられない。誰にでも無条件にお勧めできるわけではないが、留意すべき点は少なく、多少のデメリットもクルマ自体の大らかな性格で簡単に相殺できる。

記事に関わった人々

  • マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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