超個性派! 21世紀へ向けた新しいクルマ ルノー・アヴァンタイム UK版中古車ガイド(2)

公開 : 2024.03.16 17:46

斬新すぎて新車時は売れなかったアヴァンタイム モダンクラシックとなった今、個性派として注目度は上昇中 維持を難しくする部品の欠品 英国編集部が振り返る

21世紀に向けた新しいクルマの創出

ルノー・アヴァンタイムがコンセプトとして掲げていたのは、「クーペスペース」。21世紀に向けた新しいクルマの創出として、グランドツアーの興奮と高級ワンボックスカーの実用性や快適性を融合することが狙われた。

先進的なデザインのインテリアは、高級感に溢れる。今回の例では、シートはブリッジ・オブ・ウィアー社製のレザーで仕立てられ、一段高いリアシートへ座れば、素晴らしい開放感を楽しめる。

ルノー・アヴァンタイム(2001〜2003年/英国仕様)
ルノー・アヴァンタイム(2001〜2003年/英国仕様)

長距離クルージングを前提に設計されているが、大きなボディを感じさせない操縦性も目指されており、乗り心地は硬め。見た目の印象ほど、快適ではない。

高級車として多様なオプションを選べ、生産数は少なく、現在残っているアヴァンタイムでまったく同一の内容はないと考えて良い。欧州仕様では、2.0Lターボエンジンに5速ATを組め、サンルーフではなく固定された通常のルーフも指定できた。

ボディの塗装色は13種類。ドアとダッシュボードの化粧トリムは7種類。シートのレザーは9種類が用意され、クロスも1種類だけだが設定があった。

フロントとリア、サイドにスカートが追加される、スポーツキットもオプションの1つ。組み合わせ次第では、一層個性的なアヴァンタイムに仕上げることもできた。

エンジンはベーシック 電装系の故障に注意

斬新な見た目と異なり、アヴァンタイムのエンジンはベーシック。いずれも当時のルノー・ラインナップで幅広く登用されていたユニットで、適切なメンテナンスを施せば、問題なく走行距離を伸ばすことが可能だ。

唯一気をつけたいのが、5年毎か11万5000km毎に指定されたタイミングベルト交換。補機ベルトとプーリー類も、良好な状態を保ちたい。

ルノー・アヴァンタイム(2001〜2003年/英国仕様)
ルノー・アヴァンタイム(2001〜2003年/英国仕様)

電装系は複雑で故障しやすい。すべての機能を入念に確かめたいところ。キーは、2本残っていることが重要といえる。

スライドするサンルーフは巨大だが、潤滑油を定期的に吹くことで好調を保てる。ギアが破損してしまうと、修理費用は高額になると考えたい。ドア側のサイドウインドウは、ドアの開閉時に僅かに下がる。滑らかに上下へ動作するかもチェックポイント。

エアバッグの警告灯は、エンジン始動後も点灯し続けないか確かめる。多くは、シート部分のコネクターが原因。純正のCDチェンジャーは、正常に動くならラッキーだ。

ヒーター・ブロワーは、抵抗が不調になりがち。フロントガラスヒーターが動作するかもチェックポイント。シートヒーターも、動かなくなる場合がある。ヘッドライトにはオートレベライザーが備わるものの、故障しやすいという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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