ロールス・ロイス・スペクター 詳細データテスト 品格ある走り 新時代ロールス 革新的EVではない
公開 : 2024.03.02 20:25 更新 : 2024.03.08 18:29
走り ★★★★★★★★★★
スペクターの動きに、暴力的だと感じさせるものはなにもない。フルパワーにしてもスクウォットは小さくトラクションのロスはなく、またスイッチオンでドッカン91.3kg-mというような力の出し方もしない。ただただどこまでも、静かに落ち着いたままペースを上げて流していける。伝統の12気筒を超えていると感じたが、それでいて整い具合も静けさで劣るということもない。
最新のロールスは速さも兼ね備えるが、0-97km/hはファントムが5秒以上、ゴーストは4.7秒といったところ。そしてスペクターが4.1秒。EVらしく低速から力強く加速し、シフトチェンジがなく、速度が上がるにつれたくましさは薄れはじめる。しかし、BMWグループのハイブリッド同期モーターは、その落ち具合が小さいほうだ。
それゆえ、高速道路の流れを制するようなパフォーマンスは健在で、97-161km/hは5秒ジャスト。ゴーストは5.6秒。これら凌ぐのがメルセデスAMGのEQS53で、4.8秒だった
ロールスにとって速さよりはるかに大事なのが、スムースなドライバビリティである。スペクターには走行モードや回生ブレーキセッティングの切り替えがない。コラムシフトにはBモードがあって、麗しくクッションの利いたスロットルレスポンスを見せる。それは遅れを感じさせないが、瞬発的でもない、絶妙なところだ。パワーをかけていくと、すばらしくコントロールしやすい。
ブレーキ性能は、ほぼ現行ロールスと同等。ペダルはプログレッシブで、効き具合を調整するのもきわめてイージー。制動テストでは、緊急ブレーキではさすがに重量の影響を感じさせるが、テストの結果は制動能力に不安を感じさせるようなものではなかった。