過去ベストな「絶景」ドライブルートへ 理想はGRヤリス? キア・ピカントでアイルランドを巡る

公開 : 2024.03.10 19:05

2500km続くワイルド・アトランティック・ウェイを英国編集部がドライブ 筆者ベストの絶景ルート ピカントは長距離でも不満なし トヨタGRヤリスが理想的

筆者ベストの絶景ドライブルート

ふらっと立ち寄った生協で、賞味期限の迫ったサンドイッチが割引されて売っていた。今回の自動車旅行の、良い前触れのように思えた。

グレートブリテン島の西に浮かぶ、アイルランド島。ここには、クルマ好きが夢中になるような道が、延々と続いていた。なぜ今までAUTOCARで運転してこなかったのか、疑問を抱くほど。

キア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS(英国仕様)
キア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS(英国仕様)

グレートブリテン島の北部、スコットランドにもノースコースト500という、絶景を巡るドライブルートがある。だが、アイルランドのワイルド・アトランティック・ウェイは、筆者基準でそれを凌駕する。

自分が過去に楽しんできた、長距離ドライブの中でもベストの体験だった。ランドローバーディフェンダーでポルトガルを目指したこともあったし、ホンダNSXで北米のルート66を横断したこともある。しかし、それらの記憶を超えた。

AUTOCARの英国編集部は、みんな小さいキア・ピカントが好きだ。自分は、その筆頭といえる。現在の英国で売られる最も安価なモデルとして、ダチア・サンデロという小さなクロスオーバーとしのぎを削っている。日本では、馴染みがないと思うが。

執筆時の英国価格は、サンデロが1万3795ポンド(約260万円)から。ピカントは、1万3665ポンド(約258万円)から。車内の広さでいえば前者が勝るが、筆者は後者を選ぶだろう。

サンデロも素晴らしいクルマだが、ピカントの方が運転は楽しい。反応は正確で機敏。ドライバーとの一体感が濃い。長距離ドライブに耐えうる、快適性や洗練性も備わる。

長距離ドライブでも不満なしのピカント

というわけで、筆者はダブリン行きのカーフェリーを待っている。既に港町まで、4時間と390kmをピカントと過ごした。まったく不満はなかった。

今回の相棒は、メタリック塗装のオプションを載せて、1万8295ポンド(約346万円)する、トップグレードのGTラインS。1.0L 3気筒ターボエンジンに、5速MTが組み合わされている。

アイルランドのワイルド・アトランティック・ウェイを走るキア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS
アイルランドのワイルド・アトランティック・ウェイを走るキア・ピカント 1.0 T-GDi GTラインS

最高出力は100ps。車重は1030kgしかないから、0-100km/h加速を9.9秒でこなす。最高速度は180km/hも出る。カタログ値の燃費は、18.9km/Lと優秀だ。

シートは座り心地が良い。タッチモニターとエアコンが付いているし、ベーシックなクルーズコントロールまで装備する。

ドイツの高級車に乗っているような人から、路上で軽視されることはあるかもしれない。フェイスリフトで凛々しくなったフロントマスクも、さほど効果はなさそうだ。

もう二回りくらい大きいクルマの方が、走行音は小さい。ラジオも、鮮明な音を聞かせてくれると思う。高速道路での緊張感も少ない。それでも、自分はピカントで満足できる。

ワイルド・アトランティック・ウェイは、世界最長の1つを誇る沿岸のドライブルートで、総長は2500kmもある。北の始まりはアイルランド島の北端、イニショウエン半島で、島の南端を回って、キンセールという町まで続く。

その先の東部にも、素晴らしい道が続いているという。ダブリンやベルファストなどを起点に、アイルランド島を1周できると、現地の友人が教えてくれた。充分な時間があれば、夢のようなドライブに浸れそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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