296 GTBとの比較はアンフェア! マクラーレン・アルトゥーラ 「バンッ、ドスッ」でセンサー破損 長期テスト(2)

公開 : 2024.03.10 09:45  更新 : 2024.06.19 13:56

より速く、より軽くを追求してきた、マクラーレン最新のアルトゥーラ 普段使いで新たな発見はあるのか V6ハイブリッド・スーパーカーの実力を長期テストで確認

積算5196km ビールのミニ樽8本を積む

筆者にはビール好きの家族や友人が少なくなく、年末年始やお祝いごとで、ビールの醸造所を訪れる機会も多い。先日はヘレフォードシャー州のワイバレー・ブルワリーで、自分が世界最高銘柄だと考える、ブティバックの5L樽を8本も購入してしまった。

マクラーレンアルトゥーラのボンネットへ全部積めるのか、少し心配した。何しろ、合計で40Lある。ところが、さらに4本は積める余裕が残っていた。マクラーレンが実用的ではないと、誤解してはいけない。

マクラーレン・アルトゥーラと、ブティバック・ビールの5L樽8本
マクラーレン・アルトゥーラと、ブティバック・ビールの5L樽8本

積算5911km 多くの人が褒めるアルトゥーラ

筆者は先日、英国のクラシックカーのメッカ、ビスター・ヘリテージが主催するサンデー・スクランブルというイベントに参加した。あらゆるクルマ好きが楽しめる内容といえ、もし存在するなら、バッテリーEVマニアでも充実した時間を過ごせるだろう。

長期テストのマクラーレン・アルトゥーラは、会場の入口に華を添える展示車両の1台になった。ほぼ終日、その傍らで過ごした筆者は、関心を抱いた来場者の質問へ答えさせていただいた。

マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)

意見を口にする殆どの人が、アルトゥーラを褒めていた。4400ポンド(約83万円)のオプション、エンバーオレンジ・エリート塗装のことも、V6ツインターボエンジンをベースにする、プラグイン・ハイブリッド・パワートレインのことも。

フェラーリ296 GTBとの比較はフェアじゃない

それでも、中には肯定的とはいいにくい質問もあった。記憶にある1つ目は、「凄く良いですね。でも、フェラーリ296 GTB以上に良いと思いますか?」。というもの。想定できるものといえたが、筆者はこう答えた。「それはフェアな比較ではないでしょう」

「確かに、2台ともバンク角120度のV6ツインターボエンジンで、ハイブリッド・パワートレインを搭載しています。でも、296 GTBの英国価格は、アルトゥーラより6万5000ポンド(約1229万円)も高いんです」

ビスター・ヘリテージでのサンデー・スクランブルの様子
ビスター・ヘリテージでのサンデー・スクランブルの様子

「最新のマクラーレン750 Sと比べても、1万ポンド(約189万円)以上も違います。750 Sの場合、最高出力では296 GTBに劣っていても、パワーウエイトレシオでは勝るんですけどね」

もう1つは、大切な読者の方々から。「不具合は直りましたか?」。といった内容のもので、これは何度も聞かれた。半分笑みを浮かべながら。

「クルーズコントロール用のレバーは、交換済みです。それ以外、不具合などは起きていませんよ」。と、自分も毎回笑顔で答えた。

まだアルトゥーラは量産初期の段階だし、大騒ぎするようなトラブルとはいえないだろう。それでも、一部の人が抱く、現在のマクラーレンに対するイメージを表しているように思う。

ただし、筆者が原因のトラブルはゼロではない。先日のこと、少し嫌な気分を残してアルトゥーラを運転していた時だった。日没後、郊外にある自宅へ帰る途中だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マクラーレン・アルトゥーラの前後関係

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