さながら現代版「ホットハッチ」! 新型BMW X2 M35iへ試乗 300ps直4ターボx専用シャシー

公開 : 2024.03.08 19:05

積極的な回頭性 確かなグリップとトラクション

スタイリングは一新されたが、大きなテールゲートを備えた5ドアクーペのようなプロポーションは継承。M35iのフロントマスクは、大きなエアインテークとスプリッターが備わる、専用のバンパーで差別化される。

キドニーグリルはLEDで灯り、ドアミラーやサイドシル、リアスポイラーなども専用品。リアバンパーには大きなディフューザーがデザインされ、4本出しのマフラーカッターが凄みを利かせる。

BMW X2 M35i(欧州仕様)
BMW X2 M35i(欧州仕様)

ステアリングは軽く、レシオは14.7:1と適度にシャープで、回頭性は積極的。xドライブと呼ばれる四輪駆動システムが、確かなグリップとトラクションを提供する。現代版ホットハッチと呼べるような、機敏な身のこなしを披露する。

低速コーナーから鋭く立ち上がる場面では、僅かなトルクステアも感取された。懐かしいと感じる人もいるだろう。

ドライブモードを問わず、X2 M35iの乗り心地は硬め。コーナリング時のボディロールは漸進的で、抑制されている。アダプティブダンパーが強い衝撃をなだめ、大きなホイールの動きをしっかり整える。

新しいスタビリティ/トラクション・コントロールは、従来より10倍も素早い動作を実現したという。その制御は巧妙で、躍動的な走りを高めているようだった。

X2 M35iのブレーキも、前に直径385mm、後ろに335mmのスチール製ディスクが組まれる専用アイテム。ブレーキペダルへ伝わる感触はソリッドで、制動力は強力。運転する自信を鼓舞してくれる。

従来以上に使える小さなクロスオーバー

さて、最後にインテリアを見ていこう。スポーツシートが標準で、試乗車のように、Mスポーツ・シートへアップグレードも可能だ。

Mスポーツのステアリングホイールは、12時の位置にマーカーが備わる。ダッシュボードとドアパネルはアルカンターラで仕立てられ、メーター用モニターのグラフィックもM仕様となる。

BMW X2 M35i(欧州仕様)
BMW X2 M35i(欧州仕様)

インフォテインメント・システムは、最新のアンドロイド・ベース。リナックス・ベースだったiドライブの進化版で、メニュー構造がわかりやすくなった。反応も素早い。

初代から成長したボディサイズのおかげで、車内空間には余裕が生まれた。特にリアシート側は、全方向で大きくなっている。荷室容量は、トノカバー下で560L。40:20:40に分割できる背もたれを倒せば、 1470Lへ拡大する。

2代目へモデルチェンジしたX2 M35iは、印象的な動力性能と操縦性を叶えた、完成度の高い小さなクロスオーバーだ。GLA 35の好敵手として不足ない走りを披露する。初代から車内は広くなり、実用性も向上。従来以上に使えるモデルになっている。

ただし、Mのイニシャルへ期待する、高水準のフィードバックが生むコミュニケーション力までは得ていない。能力は確実に高いものの、もう少し刺激的でも良いように思う。

BMW X2 M35i(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万7395ポンド(約896万円)
全長:4554mm
全幅:1845mm
全高:1590mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:10.4-10.8km/L
CO2排出量:181-194g/km
車両重量:1695kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/5750-6500rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000-4500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事