ポルシェ・パナメーラGTS
公開 : 2014.11.28 23:30 更新 : 2017.05.29 19:04
■どんなクルマ?
きっとパナメーラGTSも良いんだろうな。乗るまえにそう思った。なぜならわれわれを含む消費者は皆、GTSの立ち位置を理解しはじめ、同時にGTSの魅力に引き込まれつつあるからだ。運転好きな層にとって、GTSは(GT3は置いておいて、たぶん)もっとも魅力的なグレードなのだ。
とくにパナメーラにおいては ’GTS’ という3文字が非常に重要になってくる。というのも去年、パナメーラのすべてのユニットにはターボ加給が施され、ダウンサイジングされているからだ。つまりGTSのみが自然吸気の4.8ℓ V8を載せているということになる。これだけでも魅力的ではありません?
出力は7速PDKデュアル-クラッチを介して、4輪に伝えられる、というところまでは標準の4WDモデルと同じ。ここからさらに車高が10mmローダウンされ、標準でエア・スプリングを組み合わせている。
初代パナメーラがデビューした際、とあるポルシェの幹部は ”自然吸気エンジンを載せたパナメーラSが私のお気に入りです。後輪駆動でスチール・バネを組み合わせたものですよ” と私に話してくれたのに、今はそんな組み合わせは手に入らない。実に悲しい事態である。
しかし私なぞよりも、彼らはポルシェのことを深く知っていることは釈然たる事実。きっととある幹部のお気に入りの組み合わせを買う人など、1人もいないと判断したのだろう。したがってパナメーラGTSは、スチール・バネではなくエア・スプリング、FRではなく4WDを採用したようだ。
■どんな感じ?
キーを捻れば、件のV8ユニットが目を覚ます。コールド・スタート時ならばやや高い回転を維持し続ける、今となっては旧き佳きNAエンジンのそれだ。欠点は見当たらない。
ここから先が興味深い。エンジンは常に440psを発揮する6700rpmを維持しようと全力を尽くすのである。V10を積んだ伝説的なBMW M5を彷彿とさせる ’熱狂’ がそこにある。
2トンに届かんとする重量や、5mを超える全長をもつ巨大なラグジュアリー・カーならば、もう少しまったりとしているのが普通なのに、あたかもスポーツカーらしい振る舞いをしようとするのはおもしろい。