ハイドロで車高上がってる状態? そう思ったアナタに読んで欲しい シトロエンC5 XヒプノスPHEV
公開 : 2024.03.04 17:45
シトロエンC5 Xヒプノス・プラグインハイブリッドに試乗しました。個性派スタイリングともいえるこのクルマ、同社の旗艦ですが、この独特の乗り心地はどこから来ているのでしょうか? 最新のシトロエンを味わいます。
フラッグシップ、でもジャストサイズ
その昔からシトロエンが気になるという業界関係者は少なくない。
今回も編集K君が「今度シトロエンC5 Xを借りるんです」と吹聴したら「ちょっと乗せて!」という輩がまぁまぁいたらしい。そこに今回のライターとカメラマンが含まれていたわけだが…
マニアが「今どきのシトロエンってどうなの?」と絶えず気にし続ける理由は、ドイツ車が定義していると思しき“現代自動車の指標”とは異なる静的/動的質感を期待してしまうからだろう。
C5 Xのスタイリングはクロスオーバーかつシューティングブレークのような個性派。まるでハイドロニューマチックで車高を上げた過去のモデルのよう。となれば乗り心地が気になって当然だろう。
シトロエンC5 Xは現行シトロエンのフラッグシップモデル。とはいえそのサイズ感はBMW3シリーズより若干長い(85ミリ)程度なので“扱いやすいサイズ感”といえる。
パワートレインはシトロエン/プジョーでおなじみの1.6Lのガソリンターボ・エンジンを搭載したモデルと、そこに110psの駆動用モーターを加えたプラグインハイブリッドの2本立てとなっている。駆動はシトロエンらしくどちらも前輪駆動である。
今回のシトロエンC5 Xヒプノス・プラグインハイブリッドは内外装に特徴がある特別仕様車。ブルーエクリプスとグリプラチナム(試乗車)という2色の専用ボディカラーと専用ホイールの他、インテリアにも特徴があり、外装のエンブレムやシートの端にギリシャ神話に由来するヒプノスのタグが添えられているのである。
ハイドロっぽい乗り心地はどこから?
シトロエンのフラッグシップといえば注目すべきはやはり「乗り心地」の部分だろう。
C5 Xのサスペンションは、かのハイドロニューマチックではなく金属スプリング。ところが走り出してみると、その乗り心地はペースの如何に関わらず極上なのである。
というかシトロエンらしくユーモアに富んでいる、と表現すべきか。今どき珍しいほどのストローク感があり、バネも柔らかい。このため大きな周期の振動は伴うが、それなりのボディの大きさ、ホイールベースのおかげで「乗り物」としての心地よさが感じられる。
もう少し観察していくとC5 Xの乗り心地にはスプリングの柔らかさだけでなく、シートの質感や車格に対して細くて厚みのある(205/55R19)エコタイヤ、さらにはPHC(プログレッシブハイドローリッククッション)と呼ばれるダンパーも寄与していそうだ。
PHCは名前ほどに複雑なシステムではなく、ダンパー内にセカンダリーダンパーが仕込まれたシステム。というとメガーヌR.S.が備えているHCC(ハイドローリックコンプレッションコントロール)が思い浮かんだ。
実際に両者の構造は似ているように見えるのだが、ルノーがそれをバンプラバー的に使っているのに対し、シトロエンはかなり早めからセカンダリーが働きだし、最後はリアホイール内から窺える白い塔のような別体の長いバンプストッパーで優しく受け止める。
ハイドロではないにせよC5 Xのアシはそれなりにコストが掛かっているのである。